
インテリスタの不動産論 第二弾|魔法使いと禿げていく男―マロッタが限られた予算で戦う理由
インテリスタの不動産論 第二弾|魔法使いと禿げていく男
モラッティの時代が終わり、インテルは別の戦い方を覚えなければならなかった。
オイルマネーはもうない。
プレミアリーグのクラブが何百億円も使う移籍市場で、同じようには戦えない。
セリエAそのものも、かつてとは違う。
資金の問題。
リーグの問題。
戦術の問題。
いろいろある。
そんな中で、ジュゼッペ・マロッタは別の武器を研ぎ澄ませた。
目利きだ。
一番高い選手を買う必要はない
バレッラを獲った。
ラウタロ・マルティネスを獲った。
チャルハノールは移籍金なしで連れてきた。
後から振り返れば、信じられないような条件だった選手もいる。
完成したスターを、世界最高額で買う。
今のインテルには、それができない。
だから別のところを見る。
まだ評価が固まっていない選手。
環境が変われば、もう一段上へ行ける選手。
契約状況によって市場価格とは違う条件で獲れる選手。
そして何より、今のチームに必要な選手。
マロッタはそこを見る。
超えられない壁の前で、別の方法を探す
プレミアの金には勝てない。
ならば、同じ方法で戦わなければいい。
市場が動くまで待つ。
フリーになる選手を見る。
若手を見る。
一度評価を落とした選手を見る。
今いる選手との組み合わせを見る。
金がないことを言い訳にせず、金以外のところを使う。
私は、この姿勢が好きだ。
そして、バレッラが走る
ただ、バレッラを見ていると胸が痛くなる。
あの男は毎試合、限界まで走る。
削られても立つ。
また走る。
諦めるという選択肢が、たぶん存在しない。
その結果なのかどうかは知らないが、前髪が試合を重ねるごとに少しずつ後退している。
前から、じわじわと。
私の髪も、インテルを応援するたびに白くなってきた。
バレッラは前から失い、私は色を失った。
我々は、それぞれの形でこのクラブに削られている。
それでも、次を探す
マロッタは、また次の一手を探す。
壁がある。
予算も限られている。
市場も不利だ。
それでも、できることをやる。
私がこの男を尊敬するのは、勝ったからだけではない。
やり切ろうとするからだ。
そして、この話を見ているうちに、私は自分の仕事と少し似ていることに気づいた。
不動産にも、予算がある。
条件がある。
全部を買えるお客様など、ほとんどいない。
その中で、どう探すか。
第三弾は、そこから始まる。
そして今季、また違うマロッタを見る
さらに時代は進んだ。
スクデットを獲っても、夏の補強はなかなか進まない。
それでも市場の最後まで待ち、チームに足りないものを埋める。
ストーンズ。
スペンス。
カーティス・ジョーンズ。
そしてピオ・エスポージト、スタンコヴィッチ、ボヴィオ。
今季のインテルについては第四弾で書いた。