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インテリスタの不動産論 白髪のインテリスタが今日も物件を探す

お客様のほとんどは、予算に限りがある。 
 モラッティのようなオイルマネーを持つお客様は、この仕事をしていて一度も会ったことがない。

「あと少し出せたら」「この予算では難しいですよね」そういう言葉を、何度聞いただろう。それが現実だ。 
 でも私は、そこで終わりにしない。 エリアをずらせないか。築年数の見方を変えられないか。お客様が「絶対に譲れないもの」と「実は譲れるもの」を、もう一度一緒に整理できないか。
同じ予算でも、発想を変えれば見える物件が変わる。諦めるのは、本当に全部やり切ってからでいい。 

 マロッタが限られた予算で誰も気づかない選手の価値を見抜くように、私は限られた予算で、誰も気づいていない物件の価値を探す。 
 モラッティは金で夢を買おうとした。それは間違いではなかった。でも最後に三冠を獲ったのは、金ではなくモウリーニョの戦術と、選手たちの魂だった。 
 不動産も同じだと思っている。 予算が多ければいい物件に住める、は半分しか正しくない。 限られた予算の中で、何を大切にするかを一緒に考えた先に、「この家でよかった」という感情が生まれる。 何十件も歩く。同じ街を朝と夜に歩く。お客様が言葉にできていない「本当に欲しいもの」を、会話の中から拾い上げる。それでも見つからない夜がある。それでも粘る。 

 バレッラは前から薄くなりながら、走り続けている。 私は白くなりながら、探し続けている。 老い方の向きは違うが、やっていることは同じだと思っている。 
 ロナウドとバッジョに恋をして、モラッティの無謀な夢に付き合って、カルチョボリの怒りを抱えて、三冠の夜に泣いて、セリエAの凋落を見届けて、それでもインテルを応援し続けた男が、白髪になって不動産をやっている。 

 「この人に頼んでよかった」。その一言のために、今日も物件を探す。