
マンションの寿命は何年?築50年・100年でも住めるのか
第2回 修繕積立金が高いマンションは、本当に損なのか
第3回 管理費が高いタワーマンションは、将来売れなくなるのか
第4回 築30年・40年でも売れるマンション、売れなくなるマンション
第5回 30年後も価値が残るタワーマンションは?
第2回 築50年のタワーマンションは、何にお金がかかるのか。
第3回 築50年でも売れるタワマン、売れなくなるタワマン。
第4回 タワマンは100年後、「ヴィンテージ」になれるのか。
「マンションの寿命は何年ですか?」
この質問の奥には、もう一つの気持ちがあるように思います。
いま気になっているこの一件を、何年先まで信じていいのだろう。
築30年を超えたら古いのか。築40年なら建替えを意識するのか。50年も経てば価値がなくなるのか。
私は、これからマンションの寿命は、むしろ延びていくのではないかと考えています。
もちろん、すべてのマンションが100年使えるという意味ではありません。立地も、構造も、施工状態も、そして建てられた後の管理も違います。
だからこそ、「何年もつか」よりも、その建物に、長く使われる理由が残っているか。そこから見ていきたいと思います。
「47年」はマンションの寿命ではない
鉄筋コンクリート造のマンションについて調べると、「47年」という数字を目にすることがあります。
しかしこれは、税務上の減価償却に使われる法定耐用年数です。
47年を過ぎた瞬間に、建物として使えなくなるわけではありません。
実際、国の住宅性能表示制度では、劣化対策等級3について、通常想定される自然条件や維持管理のもとで、おおむね75〜90年まで、大規模な改修を必要とするまでの期間を延ばすための対策を想定しています(国土交通省 住宅性能表示制度)。
つまり、
税務上の耐用年数と、建物としての寿命は別の話です。
ここを混同すると、中古マンションを見る目を誤ります。
建物は「建てた瞬間の性能」のままではない
もう一つ重要なのが、建築後の技術です。
マンションは完成したら、そのまま何十年も放置して使うものではありません。
外壁、防水、給排水設備、エレベーター、電気設備などを修繕・更新しながら使っていきます。
そして診断技術、補修材料、施工方法も進歩していきます。
国土交通省も現在、高経年マンションについて、単に建替えるだけではなく、長寿命化につながる改修を政策として支援しています。2026年度(令和8年度)にも「マンションストック長寿命化等モデル事業」が実施されています(同モデル事業)。
つまり社会の方向も、
古くなったら壊す
だけではなく、
直しながら、長く使う
へ動いています。
築年数だけで外そうとしている一件があるなら。
その数字の前に、管理、修繕、構造、立地を一度並べてみる。築年数だけでは見えなかったものが、そこから見えてくることがあります。
その一件を、築年数以外から見てみる →では、50年、70年、100年後はどうなるのか
ここでは「築年数だけで寿命は決まらない」というところまでにします。海外の古い高層住宅、コンクリートや鉄骨の補修、築50年以降の設備更新、そして100年後にヴィンテージになれる条件は、別シリーズで詳しく検証します。
そして、建替えは簡単ではない
もう一つ、マンションの寿命が延びると考える大きな理由があります。
建替えること自体が、非常に難しいからです。
戸建てなら、所有者が決断すれば建替えられます。
マンションは違います。
100戸なら100の所有者がいます。
500戸なら500。
大規模なタワーマンションなら、1,000戸を超えることもあります。(湾岸のタワーマンションについては棟ごとの選び方でも詳しくお話ししています。)
それぞれ年齢も所得も家族構成も違います。
「建替えたい人」もいれば、
「今のまま住みたい人」もいる。
追加負担できる金額も違います。
さらに、相続によって所有者が分からなくなったり、所有者自身がマンションに住んでいなかったりするケースも増えていきます。
国も、高経年マンションの増加と区分所有者の高齢化・所有者不明化によって、特に建替えなどの意思決定が難しくなる問題を認識しています(国土交通省 マンション政策資料)。
お金の問題は、さらに大きい
昔のマンション建替えには、一つの有利な条件がありました。
敷地に容積率の余裕があれば、建替えによって戸数を増やし、新しく増えた住戸を販売する。
その売却代金を建替え費用に充てることができました。
ところが現在は、すでに容積率をかなり使って建てられているマンションも多い。
国交省の調査でも、建替えによって新たに利用できる床が減少する傾向が示されています。
| 1996年以前の事例 | 約343万円 |
| 2017〜2021年の事例 | 約1,941万円 |
1戸あたり約2,000万円。
もちろん平均値なので個々のマンションでは大きく異なります。
それでも、
「古くなったら、みんなで建替えればいい」
ほど簡単な話ではないことが分かります。
建築費が上がり、余剰容積が少なくなれば、なおさらです。
だから、私はマンションの寿命は延びると思う
これは統計上確定した未来ではなく、私自身の見方です。
これから日本のマンションは、
壊して建替える
より、
適切に修繕し、設備を更新し、長く使う
方向へ進むのではないでしょうか。
国の政策にもすでにその流れがあります。国交省はマンション政策の方向性として、マンションの長寿命化、修繕積立金の安定的確保、管理不全への対応、円滑な再生などを掲げています(修繕積立金ガイドライン)。
そして、ここからマンション選びの基準も変わります。
「築何年か」より、「どう管理されてきたか」
築20年だから安心。
築40年だから危険。
私は、そんな単純な見方では足りないと思っています。
同じ築30年でも、
長期修繕計画が現実的で、
必要な修繕が行われ、
修繕積立金が確保され、
管理組合が機能しているマンション。
一方で、
修繕を先送りし、
積立金が不足し、
管理組合の意思決定もうまくいっていないマンション。
この二つを「築30年」という同じ数字で評価することはできません。
実際、国の管理計画認定制度でも、30年以上の長期修繕計画、大規模修繕を2回以上含むこと、修繕積立金が著しく低額でないことなどを基準としています(マンション管理計画認定制度)。
つまりこれから中古マンションを見るとき、本当に確認すべき数字は、
築年数だけではありません。
管理費。
修繕積立金。
長期修繕計画。
過去の修繕履歴。
積立金残高。
そして管理組合の状態。
こちらの方が、マンションの将来を考えるうえで重要になっていくと思います。
長く住めるマンションほど、管理にはお金がかかる
ここで少し厄介な話になります。
マンションを長く使おうとすれば、当然、修繕が必要です。修繕するには、お金が必要です。
だから、
「管理費・修繕積立金が安いマンション=良いマンション」
とは限りません。
むしろ私は、中古マンションを見るとき、
修繕積立金が不自然に安すぎないか
を気にします。国の認定基準でも、修繕積立金の平均額が著しく低額でないことが求められています。
毎月の負担が安いことは、今の所有者には嬉しい。
しかし必要な修繕費まで積み立てていなければ、将来どこかで誰かが負担することになります。「安い」の裏側を見るという意味では、仲介手数料の話や、当社の売上にならないとお伝えした物件の話にも、同じ考え方が流れています。
マンションの価値は「古さ」から「管理」へ
築年数は分かりやすい数字です。不動産サイトにも必ず載っています。だから私たちは、どうしても築年数でマンションを判断しがちです。
マンションを長く使うほど、価値を左右するものは「築年数」だけではなくなります。
いつ建てたか。
だけではなく、
その後、どう守ってきたか。
私は、この違いが中古マンションの価格にも、これまで以上に表れてくると思っています。
マンションの寿命は、建築された日に決まるものではない。
建物の性能と、その後の管理によってつくられていくもの。
これから中古マンションを選ぶなら、「築何年ですか?」の次に、
「このマンションは、これまでどう管理されてきましたか?」
と聞いてみる。その質問の方が、10年後、20年後の価値を考えるうえで大切なのかもしれません。
この一件で決める前に、という考え方は契約前のセカンドオピニオンや、物件より先にお話を伺うOFFERにもつながっています。
寿命の次は、「維持するお金」を見る。
修繕積立金・管理費・築30年以降の売却価値へ進み、最後に実在10棟を839960で見ます。
国土交通省|マンション管理計画認定制度
国土交通省|マンションの修繕積立金に関するガイドライン
国土交通省|住宅性能表示制度(劣化対策等級)
国土交通省|マンション政策・関係法改正資料
国土交通省|マンションを取り巻く現状について(建替え負担額)
English Housing Survey(英国政府)/欧州委員会 建物ストック統計
その築年数を、答えにしない。
気になっているマンションがあるなら、築年数だけでなく、管理、修繕、構造、立地まで同じ一件の中で見ていきます。数字を一つ見るのではなく、その建物がこれからどう歳を取るかを考えます。
「この築年数、気にした方がいいですか?」その問いからで十分です。
そのマンションのこと、聞かせてください。
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