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湾岸の地盤は本当に弱いのか|埋立地と液状化を検証

地盤と、街のなりたち

湾岸の地盤は本当に弱いのか|埋立地と液状化を検証

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◂ 東京の地盤を地形から見る(総まとめ)

湾岸の地盤は本当に弱いのか|埋立地と液状化を検証

2026.03.25

湾岸の地盤は、本当に弱いのか。

「湾岸は埋立地だから、地盤が弱い」。 豊洲・東雲・有明・晴海・芝浦・勝どきを検討すると、 今も一度は出てくる話です。

ただ、個別に調べていくと、 芝浦、勝どき・月島・晴海、豊洲、東雲・有明では、 土地ができた時期も、使われ方も、 現在確認すべき災害リスクも同じではありません。

「埋立地だから弱い」「新しいタワーマンションだから安全」。どちらも、それだけでは判断できません。

これは、 海だったから地盤が強い、 という意味ではありません。

むしろ逆です。

海だったこと。 埋立地であること。 軟らかい地層があること。

それを最初から分かったうえで、 地盤を調べ、 建物を支える方法を考えてきた。

弱点を知らずに建てた街ではなく、 弱点を前提に造ってきた街である。

この意味で使っています。

たとえば月島は明治期から形成された街で、 古い市街地と新しい超高層が隣り合います。

勝どきは工場・倉庫の歴史を経て 大規模住宅地へ変化。

晴海は港湾・倉庫の大きな街区から 住宅都市へ。

豊洲にはIHIの造船所跡地や 東京ガスの工場跡地など、 土地利用の履歴があります。

東雲では、 東雲キャナルコートを中心に 大規模マンションが集積する1丁目と、 りんかい線東雲駅側の2丁目で 街の性格が異なります。

有明でも、 大規模タワーマンションが集まる1丁目と、 シティタワーズ東京ベイや有明ガーデンのある2丁目では 街がつくられてきた時期や土地利用が違います。

芝浦も、 港湾・工業の歴史を持ちながら、 田町駅側の街と 運河沿いの大規模マンションでは 見方が変わります。

そして、 これらのタワーマンションは そこが埋立地であることを知らずに 建てられたわけではありません。

地質を調べ、 建物を支える地盤を確認し、 その敷地と建物に合わせて 基礎を設計する。

土地のリスクと、 建物の安全性は分けて見る必要があります。

この記事では「湾岸」という全体像を見たうえで、 液状化・洪水・高潮・内水・火災・建物倒壊、 土地の履歴、基礎・構造、 そして災害後の暮らし まで分けて考えます。

湾岸の話を、約6,000年前まで戻してみる。
江戸時代よりはるか前、縄文海進の頃には、現在の東京低地の奥深くまで海が入り込んでいました。

海が退き、川が土砂を運び、低地が生まれ、人が水路を使い、やがて江戸がつくられていく。 湾岸の地盤を理解する前史を、平将門・源頼朝・徳川家康までつないでたどっています。

東京は昔、どこまで海だった?|海と川がつくった東京6000年史 →

東京湾岸の海岸線は、現在とは大きく違っていた

現在の東京湾岸には、かつて海や浅い水域だった場所が多くあります。

ただし、港区・中央区・江東区・品川区のすべてを「江戸時代は海だった」と一括りにするのは正確ではありません。古くから陸地だった場所、自然に形成された低地、江戸期に手が加えられた場所、明治以降に埋め立てられた場所が混在しています。

たとえば現在の日比谷周辺には、江戸初期まで「日比谷入江」と呼ばれる入り江がありました。一方、銀座から日本橋方面には江戸前島と呼ばれる微高地があり、現在の都心部にも地形の違いがありました。

湾岸の地盤を見るときに大切なのは、「昔は海だったか」という二択ではなく、いつ、どのように土地が形成され、その後どう使われてきたかです。

東京の海と川の変化を、約6,000年前から見る。

縄文海進から低地の形成、江戸の海辺、現在の東京までをたどると、湾岸だけでなく東京全体の地形が見えやすくなります。

東京は昔、どこまで海だった?|海と川がつくった東京6000年史 →

明治〜戦前|第一次埋立の時代

現在の湾岸の街は、一度にできたものではありません。

月島では、東京湾澪浚計画に伴う埋立によって1892年に月島第一号地が完成しました。現在の月島一丁目から四丁目にあたる地域です。

芝浦では、明治末から昭和初期にかけて港湾整備と浚渫土を使った埋立が進み、現在の運河と街区の基礎が形づくられました。

勝どき・晴海・豊洲・東雲・有明も、それぞれ異なる時期の埋立と港湾整備を経て現在の街になっています。

同じ「湾岸」でも、土地ができた時代も、その後の使われ方も同じではありません。

各エリアの地名と街の履歴は、芝浦の地名の由来と30年前の姿勝どきの名前は日露戦争から豊洲の地名の由来 にまとめています。

同じ湾岸でも、土地の履歴は違う

湾岸を調べていくと、 「埋立地」という一語では足りないことが分かります。

いつ陸地になったのか。
その後、何に使われてきたのか。
住宅地になる前に何があったのか。

ここまで見ると、 街ごとの差が見えてきます。

豊洲は 大正末から昭和にかけて埋立が進み、 造船・工業・エネルギー関連施設の街から 住宅・商業地へ大きく転換しました。

現在の豊洲を考えるときは、 液状化や水害だけでなく、 IHI造船所跡地、 東京ガス工場跡地、 豊洲市場をめぐる土壌汚染の履歴まで 切り分けて見る必要があります。

勝どき・月島・晴海は 互いに近接していますが、 街の形成時期も市街地の姿も違います。

月島には古い街路や住宅が残り、 勝どきでは超高層住宅への更新が進み、 晴海では比較的新しい大街区が形成されています。

そのため、 液状化だけでなく、 火災・建物倒壊・避難経路などの見え方も変わります。

東雲・有明も 一括りにはできません。

東雲1丁目では 東雲キャナルコートを中心に Wコンフォートタワーズ、 プラウドタワー東雲キャナルコート、 パークタワー東雲など 大規模マンションが集積しています。

有明1丁目には ブリリアマーレ有明、 ブリリア有明スカイタワー、 シティタワー有明などが並び、 有明2丁目では シティタワーズ東京ベイと 有明ガーデンを中心とした 大規模複合開発が形成されています。

さらに、 東雲と有明では 埋立時期も一様ではありません。

芝浦も、 単に「港区の埋立地」と見るだけでは足りません。

運河と港湾の歴史、 田町駅との位置関係、 大規模マンションの立地、 浸水・液状化などを重ねて 初めてその住所の条件が見えてきます。

つまり、 湾岸で大切なのは年代当てではありません。

土地の履歴を知り、 現在のハザードを分け、 最後にその建物を見る。

この順番です。

そもそも、なぜ湾岸には軟らかい地層があるのか。
東京の東側に広がる沖積低地と、 武蔵野台地のような洪積台地では、 土地ができた時代と成り立ちが違います。

洪積台地と沖積低地の違いから、東京の地盤を見る →

地表付近の地盤が軟らかいことと、建物が弱いことは同じではない

ここが、 この話の中心です。

土地の地盤が軟らかいことと、 その上に建つ建物が弱いことは、 同じではありません。

高層マンションを建てる前には 地盤調査を行い、 地下の地層構成や 建物の荷重に応じて基礎を設計します。

湾岸のタワーマンションには、 深い地盤まで杭を伸ばして 建物を支えるものが数多くあります。

一方で、 地盤条件によっては 直接基礎など別の形式を採用する建物もあります。

つまり、 見るべきなのは 「湾岸だから杭は何メートル」 という一律の数字ではありません。

その棟が、 どの地盤を、 どの基礎形式で使って 建物を支えているか。

ここです。

海だったことを、判断の入口にする。

埋立地であることを隠さず、液状化・水害を確認する。
そのうえで、建物を支える地盤、基礎、構造、管理を見る。

土地の弱点と、建物の備えを分けて考える。
それが湾岸を見る基本です。

芝浦・勝どき・月島・晴海・豊洲・東雲・有明——同じ「湾岸」ではない

地域別の記事を作るために資料を重ねていくと、 湾岸全体を一枚の評価で塗ることの無理が、 よりはっきりしました。

芝浦 ——港湾・運河の履歴と、 田町駅側から湾岸側へ変わる地形を見る。

月島 ——明治期からの市街地。 液状化だけでなく、 古い街区の火災・建物倒壊も見る。

勝どき ——工業・倉庫から大規模住宅へ。 丁目・街区・建物ごとの差を見る。

晴海 ——大きな街区と新しい住宅群。 液状化と水害、 災害後の生活継続を分けて見る。

豊洲 ——1〜6丁目で土地利用の履歴が異なる。 液状化・水害に加え、 場所によっては土壌汚染の履歴も確認する。

東雲 ——1丁目の大規模住宅群と 2丁目の駅・事業所・倉庫等を含む地域を分ける。 東雲1丁目ではマンションの敷地まで落として見る。

有明 ——1丁目の既存タワーマンション群、 2丁目の大規模複合開発、 3・4丁目の業務・展示施設等を分けて見る。

たとえば、 東京都の液状化予測図で 可能性が示されていることと、 東京都の地域危険度で 火災・建物倒壊の順位が低いことは両立します。

反対に、 液状化だけを見れば比較的穏やかでも、 水害や街区条件では 別の確認が必要な場所もあります。

液状化が高い・低いだけで、 街の安全性を順位づけしない。

洪水。 高潮。 内水。 火災。 建物倒壊。

そして、 個別マンションの基礎・構造。

それぞれ別の資料で見ます。

地域ごとの詳細はこちらです。

田町・三田・芝浦の地盤| 液状化・火災・津波を地図で見る

勝どき・月島・晴海の地盤・液状化| 洪水・高潮・火災とタワーマンションを比較

豊洲の地盤| 1〜6丁目の液状化・水害・土壌汚染とマンション

東雲・有明の地盤| 1・2丁目の液状化・水害・地価とタワーマンション

3.11は、湾岸に何を残したか

2011年3月11日の東日本大震災では、 東京湾岸を含む関東の広い地域で 液状化が発生しました。

浦安などでは、 住宅地、道路、上下水道に 大きな被害が出ています。

液状化は、 湾岸を考えるうえで 今も無視できないリスクです。

一方で、 ここから 「液状化した土地の高層建物は危険」 と一直線に結論づけることもできません。

液状化による 地表・外構・ライフラインの被害と、 適切に設計された基礎を持つ 高層建物の構造安全性は、 分けて考える必要があります。

3.11が教えたのは、 「地盤が弱い=建物が倒れる」 という単純な関係ではない ということ。

そして同時に、 建物が立っていても 道路や上下水道が傷めば、 生活には大きな影響が出るということでした。

浦安の液状化——「建物」と「街」を分けて見る

浦安の映像は、 「埋立地は怖い」という印象を強く残しました。

それは当然です。

液状化で地盤が沈下し、 住宅が傾き、 道路や上下水道にも被害が出ました。

ただ、 湾岸タワーマンションを考えるときには、 そこで話を止めません。

宅地の液状化、 建物の基礎、 構造体、 外構、 道路、 上下水道。

それぞれ被害の仕組みが違います。

だから私たちは、 土地の液状化リスクを確認したうえで、 そのマンションの基礎形式と構造を見る。

さらに、 災害後に 水・電気・エレベーターがどうなるかまで確認します。

台地にも場所ごとの差があります。 武蔵野台地と地下地質については 武蔵野台地はどこからどこまでか へ。

その武蔵野台地を覆う 関東ローム層そのものの性質については、 関東ローム層は地盤が弱い?|武蔵野台地が強いと言われる理由 で詳しく整理しています。

また、 この記事で何度も出てくる 「沖積低地」と、武蔵野台地のような「洪積台地」の違いは、 洪積台地と沖積低地の違いとは?|「台地は強い・低地は弱い」だけでは分からない東京の地盤 で、土地ができた時代と成り立ちから見ています。

街の安全性を治安まで含めて見る考え方は 世田谷は安全か、新宿は治安が悪いか にまとめています。

杭だけでも終わらない——構造・竣工年・管理を見る

基礎は重要です。

ただ、 杭があるからすべて同じ、 という話でもありません。

1981年の新耐震基準は 建物を見る大きな節目であり、 高層マンションではさらに、 建物ごとの構造設計、 耐震・制震・免震の違いがあります。

地盤を見る。
基礎を見る。
構造を見る。
竣工年を見る。

そして中古マンションなら、 管理と修繕まで見る。

湾岸の一件を評価するとき、 この順番なら 「埋立地だから」という一言より、 ずっと実態に近づきます。

築年数と管理を実際にどう見るかは、 マンションの寿命は何年か 築30年・40年でも売れるマンションとは にまとめています。

タワーマンションだからこそ、長周期地震動も見る

高層マンションには、 低層住宅とは違う 地震時の特徴があります。

その一つが 長周期地震動です。

大きな地震では、 ゆっくりした揺れが長く続き、 高層階ほど大きく揺れる場合があります。

これは「湾岸だから」というより、 高層建物だから考えたいリスクです。

家具の転倒・移動、 エレベーター停止など、 建物が倒壊しなくても 生活には影響が出ます。

免震・制震など、 その棟の構造を知る意味は ここにもあります。

建物が無事でも、エレベーターと水が止まれば暮らしは変わる

タワーマンションでは、 構造体の安全性とは別に、

停電。 断水。 エレベーター停止。 災害時のトイレ。 非常用電源。 防災備蓄。

こうした設備が 生活を左右します。

40階の部屋なら、 エレベーターが止まることの意味は 低層住宅とはまるで違います。

「倒れないか」だけでなく、 「そのあと暮らせるか」。

ここまで見て、 湾岸タワーの安全性だと思っています。

湾岸を見るなら、4つに分ける。
① 土地——液状化・浸水
② 建物——基礎・杭・耐震/制震/免震
③ 管理——非常電源・水・エレベーター・備蓄
④ 街——道路・鉄道・橋・帰宅経路

そのうえで、 価格と将来の資産価値を見る。

実際にやってみた|マンション名だけで、どこまで調べられるか

ここまで「湾岸は、最後はその棟まで見る」と書いてきました。 では、マンション名が一つ分かっただけで、 一般に公開されている資料から実際にどこまで調べられるのでしょうか。

今回は性格の違う3棟、 ブランズタワー芝浦、パークタワー勝どき、ブリリアマーレ有明 で実際にやってみます。

使うのは、売主・管理組合等の公式情報、 分譲時の公開情報、東京都の地域危険度・液状化予測図、 国土地理院、自治体の公開資料などです。 特別な資料がなくても調べられるところまで調べ、 公開情報だけでは分からないところは、分からないままにします。

地盤を自分で調べる手順は、別の記事にまとめています。
地形・標高 → 地盤分類 → ハザード → 3次元地質地盤図 → 周辺ボーリング → 現地、 という順番です。

武蔵野台地はどこからどこまでか|実際に住所から地盤を調べてみる
この記事では手順を繰り返さず、3棟で実際に何が分かったかを見ていきます。

CASE 01 / SHIBAURA

ブランズタワー芝浦|「免震」だけで、どこまで分かるか

まず芝浦2丁目のブランズタワー芝浦。 2021年竣工、地上32階・地下1階、総戸数482戸のタワーマンションです。

まず、土地の地盤を見る

東京都の第9回地域危険度測定調査で 芝浦2丁目は「沖積低地3」に分類されています。 建物倒壊危険度はランク1、火災危険度もランク1、 総合危険度もランク1です。

ここで大切なのは、 「総合危険度ランク1=地盤が硬い」という意味ではないことです。 地域危険度は地盤だけでなく、建物の構造・密度、火災、 道路条件などを重ねた町丁目単位の相対評価です。

芝浦2丁目は、東京都の分類では沖積低地。 したがって、建物を見る前に 液状化や水害を別のハザード資料で確認する必要があります。 東京都の液状化予測図も、個別敷地の発生を断定するものではなく、 あくまで相対的な可能性を見る資料として使います。

では、その地盤の上にブランズタワー芝浦をどう建てたのか。 公開されている建築概要では、 杭基礎+基礎免震構造であることまで確認できます。

地盤について、今回の一般公開資料だけでは確定できなかったこと。
敷地内ボーリングの柱状図、杭先端深度、杭本数、 具体的な支持層の深さまでは確認できませんでした。

したがって「芝浦2丁目の地盤分類」から 「この敷地直下の支持層は○m」と飛躍させません。 購入判断なら、分譲時資料・設計図書・地盤調査資料を追加確認します。

公開情報から確認できたこと

・鉄筋コンクリート造、地上32階・地下1階

・基礎免震構造

・基礎工法は杭基礎

・免震・超高層建物として国土交通大臣の個別認定を取得

・共用部に防災備蓄倉庫

・非常用発電設備

・敷地南側に一時避難場所にもなるサウス・フォレスト

ここまでは、現在公開されている物件資料などから確認できます。 つまり「芝浦は埋立地」という情報だけでなく、 この建物は杭基礎で、基礎免震構造を採用し、 建物側でも地震への備えをしているところまでは追えます。

今回、一般公開資料だけでは確定できなかったこと。
杭が何本あるのか。杭先端が地表から何mなのか。 具体的にどの地層を支持層としているのか。 非常用発電で、停電時にどの設備を何時間動かせるのか。

ここから先は、分譲時パンフレット、設計図書、構造説明、 管理組合の防災資料など、追加資料を確認したいところです。

調べれば何でもネットで分かる、ではありません。 どこまで公開情報で確認できて、 どこから先に資料が必要なのかを分けること自体が、 一件を見る仕事だと思います。

確認資料:東急リバブル「ブランズタワー芝浦」物件ライブラリー・特設レポート、 公開されている建築概要等。

CASE 02 / KACHIDOKI

パークタワー勝どき|同じマンション名でも、ミッドとサウスで違う

次はパークタワー勝どきです。 ここは「マンション名まで見れば十分」ではないことが、 かなり分かりやすく出ました。

勝どき4丁目の地盤から見る

東京都の第9回地域危険度測定調査では、 勝どき4丁目は「沖積低地2」。 建物倒壊危険度はランク2、火災危険度はランク1、 総合危険度はランク1です。

つまり、ここも台地ではありません。 土地側では液状化・洪水・高潮・内水を確認したうえで、 建物がその地盤をどう使っているのかを見る必要があります。

そしてパークタワー勝どきで非常に興味深いのが、 同じ再開発の中で、ミッドとサウスの基礎形式が違うことです。

ミッドの公式公開資料では、 場所打ちコンクリート杭80本、直径約2.5m、 杭先端深さ約40〜47m。 一方サウスは、 地表面から深さ約24.6mの地盤に建物基礎を直接建設する直接基礎 とされています。

これは「勝どきの地盤は弱い・強い」という一言では説明できません。 同じ街区でも、建物ごとに地盤条件と荷重を踏まえて 異なる基礎形式が採用されています。

ミッドとサウスで、建物を支える方法そのものが違います。

パークタワー勝どき ミッド

・基礎免震構造

・場所打ちコンクリート杭

・杭は80本

・杭径は約2.5m

・杭先端深さは約40m〜47m

パークタワー勝どき サウス

・VDコアフレーム構法とオイルダンパーを用いた制振

・直接基礎工法

・地表面から深さ約24.6mの地盤に建物基礎を直接建設

これは面白い違いです。 同じ「パークタワー勝どき」で、 同じ勝どき4丁目の大規模開発でも、 ミッドは杭基礎、サウスは直接基礎。 地震への考え方も、ミッドは基礎免震、 サウスは制振という違いがあります。

さらに公式の公開情報からは、 ミッド・サウスとも非常用発電設備、 非常用水貯留槽、防災倉庫などが確認できます。 ミッドではエレベーターの地震・火災管制や 停電時のバッテリーによる非常運転、 サウスでは災害対策拠点や一部共用部の直結給水についても公開されています。

ここから先は、やはり追加確認が必要です。
非常用発電の実際の継続時間や対象設備の詳細、 住戸までの給水条件、エレベーター復旧の運用、 現在の防災備蓄量、管理組合の最新の防災計画などは、 購入する一件として見るなら最新資料を確認したいところです。

「勝どきは液状化が心配か」だけを調べていたら、 この違いにはたどり着きません。

地域から街区へ。 街区からマンションへ。 そしてマンション名から、さらにミッドとサウスへ。 ここまで降りると、地盤と建物の関係が具体的になります。

確認資料:三井不動産グループ公開「パークタワー勝どき ミッド/サウス」 EQUIPMENTS / QUALITY。

CASE 03 / ARIAKE

ブリリアマーレ有明|築年が進んだマンションは、管理まで見える

3棟目は、有明1丁目のブリリアマーレ有明です。 2008年12月竣工、地上33階・地下1階、総戸数1,085戸。

有明1丁目の地盤から、建物の支持層まで追える

東京都の第9回地域危険度測定調査では、 有明1丁目は「沖積低地2」。 建物倒壊危険度はランク1、火災危険度はランク1、 総合危険度もランク1です。

ここでも、総合危険度の低さと 土地そのものの液状化・水害リスクは分けて見ます。 有明は埋立地ですから、土地側のハザードを確認したうえで、 建物がどこまで地盤を掘り下げ、何を支持層としているのかを見ます。

ブリリアマーレ有明は、ここがかなり具体的に公開されています。 公式サイトでは、 地下約34mにN値50以上の硬い支持層があり、 そこまで132本の杭を打設したと説明されています。 杭径は約2.0〜2.1m。 杭先端は最大約3.6mまで広げた拡底杭です。

つまり、地表付近の地盤と、 巨大な建物の荷重を実際に受ける地層は同じではありません。 「有明は埋立地」から「この建物は地下約34mの支持層を使っている」まで降りて見る ことで、初めて建物側の地盤対策が見えてきます。

このマンションは、 現在も管理組合法人による公式サイトが公開されており、 建物の構造だけでなく、竣工後の管理や防災活動まで追える という特徴があります。

公開情報から確認できたこと

・耐震構造

・地下約34mのN値50以上の支持層まで杭を打設

・杭径約2.0〜2.1m、合計132本

・杭先端を最大約3.6mに広げた拡底杭

・杭頭半固定工法

・最大約70N/mm²の高強度コンクリート

・水セメント比50%以下

・劣化対策等級3相当のかぶり厚を確保

ここまで具体的に公開されています。 「有明は埋立地」という情報から、 地下約34mの支持層を132本の杭で使う建物 というところまで、一気に解像度が上がります。

さらに興味深いのは、竣工後です。 管理組合法人の公式サイトでは、 住民有志の「災害協力隊」や、 地下の防災倉庫に加えて5階・10階〜30階の5階ごとに 防災備蓄倉庫を追加整備したことなども公開されています。

中古マンションを見るとき、 分譲時にどれだけ立派だったかだけでは足りません。 その後、管理組合が何をしてきたか。 防災や修繕をどう更新してきたか。 ここまで見られると、築年数の意味も変わります。

それでも、ネットだけでは終わりません。
現在の長期修繕計画、修繕積立金の将来計画、 直近の総会議事録、設備更新の履歴、 現在の備蓄量や非常時運用などは、 実際の購入判断では管理資料を確認します。

確認資料:ブリリアマーレ有明 管理組合法人公式サイト 「構造」「物件概要」「防災備蓄の整備」等。

3棟を実際に調べて分かったこと

同じ湾岸タワーマンションでも、 公開されている情報の深さはかなり違いました。

ブランズタワー芝浦|芝浦2丁目:沖積低地3
町丁目の地盤分類と、建物が杭基礎+基礎免震であることまでは確認できる。 一方、杭本数・杭先端深度・敷地直下の支持層は、 今回確認できた一般公開資料だけでは確定できない。

パークタワー勝どき|勝どき4丁目:沖積低地2
ミッドは杭先端約40〜47mの場所打ち杭+基礎免震。 サウスは深さ約24.6mの地盤への直接基礎+制振。 同じ再開発でも、建物を支える方法が違う。

ブリリアマーレ有明|有明1丁目:沖積低地2
地下約34mのN値50以上の支持層、132本の杭、杭径まで公開されている。 さらに竣工後の管理組合による防災活動まで追うことができる。

ここで大切なのは、 「どのマンションが一番安全か」をこの3項目だけで順位づけすることではありません。

公開資料で分かること。
設計図書や分譲時資料が必要なこと。
管理組合の資料を見なければ分からないこと。
現地を見なければ分からないこと。

一件を調べると、この境界が見えてきます。

そして、土地側では別に、 液状化、洪水、高潮、内水、道路、橋、避難経路を見る。 建物側では、基礎、構造、非常電源、水、エレベーター、管理を見る。

「湾岸だから大丈夫」「湾岸だから危ない」ではなく、 最後は、その棟がどうなっているか。

実際に3棟を調べてみると、 この記事で書いてきたことが、かなり具体的に見えてきました。

勝どき・月島・晴海は、隣り合っていても評価が違う

勝どき・月島を歩くと、 巨大なタワーマンションのすぐ近くに、 古い住宅や細い街路が残る場所があります。

一方、 晴海には大規模に整備された 新しい街区が広がります。

距離は近くても、 都市のつくられ方が違います。

東京都の地域危険度を町丁目単位で見ると、 この違いはさらに明確です。

だから災害を 「湾岸だから液状化」で終わらせません。

液状化、 洪水、 高潮、 火災、 建物倒壊、 道路幅、 避難経路、 そしてマンションそのもの。

同じ中央区湾岸でも、 見る順番を分けます。

晴海、 特にHARUMI FLAGのような新しい街区も、 「新しいから安全」と決めるのではありません。

土地のハザードと、 街区設計・建物・インフラを 分けて確認します。

東雲・有明は、町丁目とマンションまで落として見る

東雲・有明も、 同じ考え方です。

「東雲の地盤」 「有明の地盤」 だけでは、 実際の物件選びにはまだ広すぎます。

東雲では、 大規模タワーマンションが集中する 東雲1丁目と、 りんかい線東雲駅側の 東雲2丁目で 土地利用の姿が変わります。

東雲1丁目9番台には、 Wコンフォートタワーズ、 パークタワー東雲、 プラウドタワー東雲キャナルコート、 キャナルファーストタワー、 ビーコンタワーレジデンスなどが集まっています。

有明では、 ブリリアマーレ有明、 ブリリア有明スカイタワー、 シティタワー有明などが立地する 有明1丁目

シティタワーズ東京ベイと 有明ガーデンを中心とする 有明2丁目

さらに3丁目・4丁目まで、 街の使われ方は変わります。

地域名から、住所へ。
東雲ではなく、東雲1丁目。
さらに、そのマンション。

有明ではなく、有明1丁目・2丁目。
さらに、そのマンション。

ここまで落として、 ハザードと建物を重ねます。

東雲・有明の地盤は大丈夫?| 1・2丁目の液状化・水害・地価とタワーマンションを徹底検証

それでも、湾岸を選ぶ理由がある

ここまでリスクを書いても、 私たちは湾岸を否定しません。

豊洲・東雲・有明・晴海・勝どき・月島・芝浦には、 都心への距離、 眺望、 再開発、 比較的新しい住宅ストック、 大規模マンションならではの管理など、 ほかにはない魅力があります。

大切なのは、 リスクを知らずに買うことでも、 リスクだけを見て 選択肢から外すことでもありません。

弱いところまで知ったうえで、 それでも持ちたいと思える一件を選ぶ。

その方が、 長く納得して住めると思います。

実際にご案内した湾岸・都心のマンションは 湾岸・都心で、実際にご案内した住まい へ。

芝浦なら ブランズタワー芝浦・プラウドタワー芝浦・グローバルフロントタワー比較 、 街の暮らしは 芝浦で暮らす にまとめています。

結論|湾岸は、土地と建物を分けて見る

芝浦、月島、勝どき、晴海、豊洲、東雲、有明。

同じ湾岸でも、土地ができた時期、使われ方、街区のつくられ方は違います。

だから最初に見るのは、液状化・洪水・高潮・内水などの土地側の条件です。

その次に、杭や直接基礎、耐震・制震・免震、非常用電源、給水、エレベーター、防災備蓄といった建物側の条件を見ます。

さらに中古マンションなら、長期修繕計画、修繕積立金、設備更新、防災計画など管理の現在地まで確認します。

地盤が弱いことと、建物が弱いことは同じではありません。

反対に、建物側に十分な対策があるからといって、液状化や水害、道路・上下水道など街側のリスクが消えるわけでもありません。

「湾岸だから危ない」「タワーマンションだから大丈夫」で終わらせず、地域から住所へ、住所からその一棟へ。

そこまで降りて見て、初めて一件を評価できます。

そして安全性だけで物件を選ぶわけでもありません。眺望は 棟別の眺望干渉、駐車場・ペットは 駐車場サイズ・ペット条件、共用施設は 共用施設比較 へ。

30年後の価値まで考えるなら 30年後も価値が残るタワーマンションとは もあわせてご覧ください。

地盤だけで、街は選べません。
勝どき・月島・晴海は近い三つの街ですが、 街区・マンション・駅距離・子育て・車・ペットまで条件は違います。

勝どき・月島・晴海、どこに住む?| 実際の案内から比較する

※ 本コラムは一般的な情報提供を目的としたものです。 個別物件の安全性は、 設計図書・構造説明・地質調査・ハザード情報・ 管理組合の防災計画等を個別にご確認ください。
主な参照資料: 国土交通省 東日本大震災における液状化関連資料/ 東京都「地震に関する地域危険度測定調査 第9回」/ 東京都「東京の液状化予測図」/ 東京都「首都直下地震等による東京の被害想定」(2022)/ 東京都のマンション防災関連資料/ 産業技術総合研究所 地質調査総合センター/ ブランズタワー芝浦の公開物件資料/ 三井不動産グループ「パークタワー勝どき ミッド/サウス」公開資料/ ブリリアマーレ有明 管理組合法人公式サイト等。 公開情報は掲載時点・分譲時点の内容を含み、現在の運用・設備状況と異なる場合があります。

お客様が書かれたこと

最終的には違う不動産の物件に決めました。 むしろその物件について松村さんに相談した際には、 仲介できない物件にも関わらず不動産に問い合わせしてくださり、 内見できるように調整までしてくださいました。 ご自身の利益よりも顧客の立場に寄り添ってくださる方です。 次に引っ越しをする際は必ず松村さんにお願いしたいと思っています。

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地盤だけで、湾岸は選べません。 眺望、駅距離、管理、共用施設、駐車場、そして価格。
土地を知ったら、次は「どの一棟を選ぶか」へ。
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