
修繕積立金が高いマンションは損?安ければ安心とは限らない理由
修繕積立金が高いマンションは、
本当に損なのか。
安いマンションではなく、残るマンションを選ぶ。
マンションを探していると、こんな比較をすることがあります。
| Aマンション 修繕積立金 | 月 15,000円 |
| Bマンション 修繕積立金 | 月 30,000円 |
同じような価格、同じような広さなら、
「毎月15,000円安いAマンションの方がお得」
そう考えるのは自然です。
でも私は、マンションを長期で所有するのであれば、修繕積立金は安ければいいとは考えていません。
むしろ確認したいのは、
「なぜ、その金額なのか。」
修繕積立金は「消えていくお金」ではない
修繕積立金は、管理費とは性質が違います。
外壁、防水、給排水設備、エレベーターなど、建物を将来にわたって維持するために積み立てていくお金です。
国土交通省も、マンションの長寿命化には適時・適切な大規模修繕と、そのための修繕積立金の安定的な確保が重要だとしています(修繕積立金ガイドライン)。
つまり、
修繕積立金が安いこと自体が、マンションの優秀さを意味するわけではありません。
ここは購入時にかなり注意して見ています。
実際、積立金が足りないマンションは珍しくない
3棟に1棟を超える。
令和5年度マンション総合調査では、長期修繕計画に対して現在の修繕積立金が不足しているマンションは36.6%でした(同調査 とりまとめ)。3棟に1棟を超えます。
購入したときは月々の負担が軽かった。ところが数年後、
修繕積立金が上がる。
大規模修繕の費用が足りない。
一時金が必要になる。
そうなれば、「積立金が安かったから得だった」とは簡単には言えません。
国土交通省が段階的に積立額を上げる方式より、安定的な積立を重視する方向を示しているのも、この問題が背景にあります。
では、共用部が豪華なマンションは損なのか。
ここからが今回、一番考えたいところです。
タワーマンションなどには、ラウンジ、ゲストルーム、フィットネスルーム、コンシェルジュ、内廊下、エスカレーター、機械式駐車場、空調設備など、多くの共用設備があります。(湾岸のタワーマンションについては棟ごとの選び方でも触れています。)
当然、設備が増えれば維持するものも増えます。
特に超高層マンションでは、一般的なマンションにはない設備があります。国土交通省も、内廊下の空調、免震装置、エスカレーターなど、超高層マンション特有の修繕項目について指摘しています。
ならば、
「そんなものは全部なくして、管理費や修繕積立金を安くした方がいい」
となるでしょうか。
私は、そう単純ではないと思っています。
「住むためには不要」と「価値がない」は違う
極端にいえば、マンションで生活するだけなら豪華なエントランスもラウンジも必要ありません。玄関とエレベーターと廊下があれば生活できます。
しかし、不動産はそれだけで価格が決まっているわけではありません。
立地、建物、眺望、ブランド、外観、エントランス、共用空間、管理状態。それらを全部含めて、
「ここに住みたい」
と思う人がいるから価格が形成されます。
だから私は、豪華な共用部を単純に「無駄」と切り捨てることには違和感があります。
共用部は「毎日使うもの」だけではない
例えばホテルのロビーを考えてみます。
宿泊者がロビーに何時間も滞在するわけではありません。それでもホテルは、入口やロビーの設計にかなりのお金をかけます。
なぜでしょう。建物全体の印象をつくる場所だからです。
マンションにも似た部分があります。自分がラウンジを月に一度しか使わなくても、そこを初めて訪れた購入希望者が、
「このマンションに住みたい」
と思うかもしれない。つまり共用部には、
利用価値だけでなく、商品価値があります。
ただし、豪華なら何でもいいわけではない
ここが重要です。
共用施設が増えるほど、将来の維持管理費も考えなければなりません。そして設備には流行があります。
20年前には先進的だった設備が、20年後には使われなくなっているかもしれない。
逆に、広いエントランス、質の良い素材、余裕のあるランドスケープ、眺望を生かしたラウンジなどは、時間が経っても価値を失いにくい可能性があります。
だから私なら、「豪華か、質素か」では見ません。見るのは、
数十年後にも、この共用部は魅力として残っているだろうか。
新築時より、30年後を想像する
新築マンションは、基本的にきれいです。本当に差が出るのは、その先でしょう。
築20年。築30年。築40年。
そのとき、
エントランスはどうなっているのか。
植栽はどうなっているのか。
設備は更新されているのか。
修繕積立金は足りているのか。
そして何より、
次の購入者が、そのマンションを見て「住みたい」と思うのか。
第1回で私は、マンションの寿命は今後さらに伸びていくのではないか、と書きました。そうなるほど重要になるのが、
築年数より管理を見ることです。
3万円と1万5,000円。どちらを選ぶか。
私は金額だけでは判断できません。
3万円でも、長期修繕計画が合理的で、必要な修繕が織り込まれ、十分な残高があり、その建物の商品価値を維持するために使われるのであれば、必ずしも高いとは思いません。
逆に1万5,000円でも、将来大幅な値上げが予定されていたり、修繕計画に対して積立不足だったりすれば、本当に安いのかは分かりません。
国の管理計画認定制度でも、30年以上の長期修繕計画や、その期間中に2回以上の大規模修繕を含むこと、修繕積立金が著しく低額でないことなどが基準になっています(マンション管理計画認定制度)。
だから中古マンションを見るとき、月々の金額だけではなく、
長期修繕計画・現在の積立残高・今後の値上げ予定・過去の修繕履歴・共用設備の内容
まで見た方がいい。
安いマンションではなく、残るマンションを選ぶ。
管理費や修繕積立金は、住宅ローンと違って毎月出ていくお金なので、どうしても「安い方がいい」と考えたくなります。
でもマンションを10年、20年と所有するなら、
毎月いくら払うかと同時に、そのお金によって何が残るのかを見る。
私はそちらの方が大切だと思います。
共用部にも同じことが言えます。華美なだけの設備はいらない。でも、数十年後にも人を惹きつける共用部なら、それは単なる贅沢ではなく、そのマンションの商品力の一部かもしれません。
修繕積立金が高いマンションは、本当に損なのか。
答えは、
高いか安いかではなく、その金額に理由があるか。
そしてもう一つ。そのお金で、30年後のマンションの価値を守れるのか。
私は中古マンションを見るとき、そこまで考えて選びたいと思っています。
その積立金、高いのか安いのか。
長期修繕計画や積立残高まで、資料を一緒に読み解きます。気になる一件があれば、その物件について具体的にお調べします。買う前でも、どうぞお気軽に。
フォームで相談する株式会社 blue blooded / 田町駅 徒歩4分・完全予約制。急かすことも、勧誘もいたしません。