
管理費が高いタワーマンションは将来売れない?共用部と資産価値
管理費が高いタワーマンションは、
将来売れなくなるのか。
見るのは「金額」ではなく「理由」。
タワーマンションを見ていると、物件価格とは別に気になる数字があります。管理費です。
月2万円。3万円。物件によっては、さらに高い。
住宅ローンに加えて、修繕積立金、固定資産税、そして管理費。
購入を検討するお客様から、
「管理費が高いマンションは、将来売りにくくなりませんか?」
と聞かれることがあります。もっともな疑問です。毎月支払う固定費なのですから、安い方がいい。一見すると、そう思えます。
ただ私は、
管理費は「高いか安いか」だけで判断するものではない
と考えています。むしろ大切なのは、
その管理費によって、何が維持されているのか。
管理費と修繕積立金は、似ているようで違う
前回取り上げた修繕積立金は、将来の大規模修繕などに備えるためのお金です。
一方、管理費は基本的に、日常の清掃、設備管理、管理員・コンシェルジュ、共用部分の電気代、エレベーター、植栽、警備など、
「今のマンションを維持するためのお金」
です。だから設備やサービスが多いマンションほど、管理費が高くなりやすい。
特にタワーマンションでは、一般的なマンションより管理対象が多くなります。内廊下、複数のエレベーター、24時間有人管理、コンシェルジュ、ラウンジ、ゲストルーム、フィットネス施設、機械式駐車場など。当然、タダでは維持できません。国土交通省も、超高層マンション(一般に20階以上)は外壁等の修繕に特殊な足場が必要になるなど、維持・修繕の費用が高くなりやすいことを示しています(修繕積立金ガイドライン)。
では、共用施設の少ないマンションの方が得なのか。ここが難しいところです。共用施設を減らせば、管理費を抑えられる可能性があります。では、
エントランスは最低限。
ラウンジなし。
コンシェルジュなし。
植栽も最低限。
共用施設もほとんどなし。
そのマンションの方が資産価値は高くなるでしょうか。
必ずしも、そうとは言えないと思います。マンションは単なる「コンクリートの箱」ではないからです。
新築マンションでも、共用部は売れ行きを左右する
モデルルームを見に行った経験のある方なら分かると思います。マンション販売では、専有部分だけが売られているわけではありません。
外観。エントランス。ロビー。植栽。
ラウンジ。眺望。照明。
そして建物全体の雰囲気。
こうしたものを含めて、
「このマンションに住みたい」
という感情が生まれます。逆に、専有部分や立地が悪くなくても、共用部に魅力を感じにくいマンションはあります。
不動産は数字だけの商品ではありません。最終的には、人が選ぶ商品です。
だから、共用部の魅力そのものがマンションの商品力になっているケースは確実にあります。
中古になったとき、その差はもっと大きくなる
私はむしろ、新築時より中古になってからの方が重要だと思っています。新築なら、どんなマンションでも基本的にはきれいです。ところが10年、20年、30年と経つと差が出てきます。
きれいに保たれたエントランス。
手入れされた植栽。清潔な内廊下。
更新された設備。整理された駐輪場。
きちんと管理されたゴミ置場。
こうしたものを内見者は無意識に見ています。そして、
「築20年なのに、きれいですね」
というマンションと、
「まだ築20年なのに、古く見える」
というマンションに分かれていきます。この差を生むものの一つが、日々の管理です。
管理費は「マンションの見た目」を買っている部分もある
ここは少し乱暴な言い方かもしれません。しかし私は、管理費の一部は、
マンションの商品価値を維持するためのお金
だと考えています。
例えば植栽。なくても生活できます。
ラウンジ。なくても生活できます。
コンシェルジュ。いなくても生活できます。
それでも、それらが適切に配置され、きれいに維持されていることで、そのマンションにしかない雰囲気が生まれる。
中古マンションを売却するときにも、それは無関係ではありません。購入希望者がエントランスに入った瞬間の印象は、専有部分を見る前に決まっています。
ただし、「豪華=価値がある」でもない
ここを間違えてはいけません。豪華な設備なら何でも資産価値につながるわけではありません。
利用者がほとんどいない施設。
維持費が非常に高い設備。
時代とともに使われなくなったサービス。
過剰な人員配置。
こうしたものは、将来、
「マンションの魅力」ではなく「マンションの負担」
になる可能性があります。だから見るべきなのは、共用施設の数ではありません。その施設が、
「長く使われるのか」
「マンションの魅力になっているのか」
「維持費に見合っているのか」
そして、もう一つ重要なのが戸数
同じように豪華な設備を持つマンションでも、500戸のマンションと100戸のマンションでは事情が違います。共用施設の維持費を何世帯で負担するかが違うからです。
これはタワーマンションを見るときに、かなり重要です。豪華なラウンジがあるから高コスト。コンシェルジュがいるから高コスト。それだけでは判断できません。
そのサービスを何戸で支えているのか。ここまで見ます。
大規模マンションには、規模のメリットが働く部分があります。国土交通省も、建物の規模が大きくまとまった工事量になるほど施工性が上がり、修繕工事の単価が下がる傾向にあると指摘しています(同ガイドライン)。(棟ごとの違いは湾岸タワーガイドでも触れています。)
「管理費+修繕積立金」で見た方がいい
さらに私は、管理費だけを切り離して比較することにも少し違和感があります。例えば、合計額が同じでも中身は全く違います。
| 管理費 | 修繕積立金 | 合計 | |
| Aマンション | 20,000円 | 30,000円 | 50,000円 |
| Bマンション | 35,000円 | 15,000円 | 50,000円 |
さらに重要なのは、5年後、10年後に修繕積立金がどうなる予定なのか、です。購入時の月額だけ比べても、将来の負担は分かりません。
中古マンションなら、
管理費/修繕積立金/長期修繕計画/積立金残高/将来の値上げ予定/過去の大規模修繕/管理組合の状態
まで見て初めて、そのマンションの本当の維持コストが見えてきます。
管理費が安すぎるマンションにもリスクがある
管理費が安い。これはもちろん魅力です。ただ、安ければ無条件に良いわけでもありません。
清掃回数を減らす。
管理員の勤務時間を短くする。
植栽管理を減らす。
設備点検の仕様を変える。
管理会社への委託内容を削る。
そうすれば管理費を下げられる可能性があります。しかし、それを続けた結果、マンション全体の印象が悪くなればどうでしょう。
年間10万円の管理費を節約できても、売却時にマンションの商品力が落ちてしまったら、
果たして本当に得だったのか。これは簡単には答えられません。
30年後にも「住みたい」と思われるか。
第1回でマンションの寿命について書きました。私はこれから、マンションはさらに長く使われるようになると考えています。工法も進歩する。補修技術も進歩する。建て替えは簡単ではない。だからこそ、建物を長く使う時代になる。
そうなると、マンション選びも変わります。新築か中古か。築10年か築20年か。という見方だけでは足りません。重要になるのは、
30年後にも選ばれるマンションなのか。
管理費の「金額」より「理由」を見る。
管理費が月4万円だから高い。月2万円だから安い。それだけでは判断しません。
例えば4万円でも、建物の規模に見合った管理が行われ、共用部分がきれいに維持され、住民が実際に利用するサービスがあり、その結果としてマンションの商品力が維持されているのであれば、
4万円には4万円の理由があるかもしれません。
逆に2万円でも、必要な管理まで削られているのであれば、必ずしも得とは限りません。
管理費が高いタワーマンションは、将来売れなくなるのか。
私は、「管理費が高い」という理由だけで売れなくなるとは考えていません。問題なのは、
払っている金額と、得られている価値が釣り合わなくなること。
適切な管理によって建物の魅力が維持され、30年経っても「ここに住みたい」と思う人がいるなら、話は違います。
マンションを買うときに見るべきなのは、今日の管理費だけではありません。そのお金が、
10年後、20年後、30年後のマンションに何を残すのか。
その管理費、金額に見合っていますか。
気になるタワーマンションがあれば、管理費・修繕計画・戸数あたりの負担まで、一緒に読み解きます。売る側でも、買う側でも、どうぞお気軽に。
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