
築30年・40年でも売れるマンションとは?資産価値を決める10の条件
築30年・40年でも売れるマンション、
売れなくなるマンション。
「築30年」は、マンションの賞味期限ではない。
第2回 修繕積立金は、本当に損なのか
第3回 管理費が高いと将来売れなくなるのか
▶ 第4回 築30年・40年でも売れるマンションとは(この記事)
第5回 30年後も価値が残るタワーマンションとは
マンションを購入するとき、
「築30年になったら売れるのでしょうか」
「築40年になったマンションに価値はあるのでしょうか」
という質問を受けることがあります。特に30代、40代でマンションを購入する方なら当然です。
今、築10年のマンションを買っても、20年住めば築30年。築20年なら、20年後には築40年です。
だから中古マンションを買うということは、今の価格だけではなく、そのマンションが30年後にどう見られるかを買うことでもあります。
では、築30年、40年になったマンションは売れなくなるのでしょうか。私は、そうは考えていません。むしろこれからは、
同じ築30年でも、価格を維持するマンションと、そうでないマンションの差が大きくなる。
すでに「築30年=売れない」市場ではない
実際の中古マンション市場を見ると、かなり興味深い数字があります。
東京都だけでも、この3か月で築30年超が約2,354件成約。
2026年1〜3月のREINSのデータでは、首都圏で成約した中古マンションのうち、築30年を超える物件が成約件数全体の40%以上を占めています(REINS 季報マーケットウオッチ)。東京都だけでも、この3か月間で築30年超のマンションが2,354件成約しています。
築30年は、もはや特殊な中古マンションではありません。普通に売買される市場になっています。
さらに現在の東京都心では、土地価格、建築費、新築マンション価格などの上昇を背景に、築年数が経過していても価格が高いマンションは珍しくありません。つまり、
建物は毎年1年ずつ古くなっているのに、マンション価格は必ずしも毎年下がっているわけではない。
ここが不動産の面白いところです。
マンションには「建物」と「土地」がある
なぜそんなことが起きるのでしょう。マンション価格は、建物の年齢だけで決まらないからです。
マンションを購入すると、専有部分だけではなく、土地の共有持分も所有します。そして都心の一等地は、新しく作ることができません。
駅前。山手線内側。港区。中央区。
湾岸の再開発エリア。
こうした場所の土地そのものに対する需要が強くなれば、建物が古くなっても、立地価値がそれを上回ることがあります。
だから私は、「築30年だからいくらになる」という見方をあまりしません。
どこに建っている築30年なのか。こちらの方が重要です。
1.まず「立地」
30年後の価格を考えるなら、最初に見るのはやはり立地です。
駅から近い。複数路線が使える。
都心へのアクセスが良い。商業施設がある。
学校、病院、公園など生活環境が整っている。
こうした条件は建物が30歳になっても大きく変わりません。むしろ周辺の開発によって、購入時より便利になることさえあります。
建物は古くなる。しかし、
立地は古くならない。
2.「再開発」がマンションの年齢を追い越すことがある
購入時には普通の街だった場所に、新しい駅ができる。商業施設ができる。オフィスが増える。公園や歩道が整備される。街そのものが変わる。
すると築年数は20年増えているのに、立地の価値は20年前より高くなっているということが起こります。田町・芝浦、浜松町、品川、勝どき、晴海、豊洲などを見ると、この視点は非常に重要だと思います。(各エリアの動きは湾岸タワーガイドでも。)
だから中古マンションを見るとき、建物だけを見るのではなく、
その街の10年後、20年後を見る。
3.「管理」でヴィンテージにも、単なる古いマンションにもなる
第1回から繰り返してきたテーマです。築30年という数字だけでは、そのマンションの状態は分かりません。
外壁。エントランス。内廊下。植栽。
エレベーター。給排水設備。防水。共用施設。
これらが適切に維持・更新されてきたマンションと、必要な修繕を先送りしてきたマンション。同じ築30年でも全く違います。
国も現在、建替えだけではなく既存マンションの長寿命化改修や一棟リノベーションを政策として支援しています(国交省 長寿命化モデル事業)。
「築30年だから古い」ではなく、「築30年までどう管理されてきたか」を見る時代になると思います。
4.修繕履歴はマンションの「カルテ」
中古マンションを見るとき、私は過去の修繕履歴を重要だと思っています。
大規模修繕はいつ行われたのか。
外壁、防水、設備はどう更新されたのか。
次の大規模修繕はいつなのか。
長期修繕計画は更新されているのか。
修繕積立金はいくら残っているのか。
積立金の値上げ予定はあるのか。
これらはマンションの健康診断のようなものです。見た目がきれいでも、将来大きな支出を抱えている可能性があります。
逆に築年数が経っていても、計画的に修繕されているマンションなら評価は変わります。
5.「戸数」は長期保有では意外に重要
500戸のマンションと50戸のマンション。同じ設備を維持する場合、1戸あたりの負担は同じではありません。大規模マンションには、多くの所有者で維持費を分担できるという規模のメリットがあります。
もちろん戸数が多ければ何でも良いわけではありません。大規模になれば設備そのものも大きくなり、合意形成が難しくなる側面もあります。
それでも、長期的な管理費・修繕費を見るとき、総戸数と共用設備のバランスは必ず確認したい項目です。
6.共用部は30年後に差が出る
新築時にはどのマンションもきれいです。だから私は、マンションを見るとき、「このエントランスは30年後にも格好いいだろうか」と考えることがあります。
流行を追った設備。ほとんど使われない施設。維持費だけが高い設備。これらは将来負担になるかもしれません。一方、
質の良い素材。広さに余裕のあるエントランス。
きれいな植栽。眺望を生かしたラウンジ。
普遍性のあるデザイン。
こうした共用部は、30年経ってもマンションの魅力として残る可能性があります。
豪華さより、時間に耐えられるか。
7.間取りにも「寿命」がある
建物だけではありません。間取りにも時代があります。
極端に小さな部屋。使いにくい柱。天井高。
収納量。リビングと居室の関係。
家族構成や生活様式が変わっても使いやすい間取りは、古くなっても需要が残りやすい。逆に、その時代特有の生活様式に合わせすぎた間取りは、将来使いにくくなる可能性があります。
だから長期保有なら、「今の自分が住みやすいか」だけでなく、「次の人も住みたいと思うか」を見ることも大切です。
8.ブランドは、築年数を超えることがある
マンションにもブランドがあります。デベロッパー。シリーズ。設計。施工会社。管理会社。そして、そのマンション自体が長い年月をかけて作ってきた評価。
築年数が経っても、「あのマンションなら住みたい」と名前で検索されるマンションがあります。
マンションが長寿命化すれば、新築時のブランドより、「30年間どう維持されたブランドなのか」が重要になってくると私は思います。
9.駅距離は30年経っても変わらない
マンションが築1年でも築30年でも、駅徒歩3分は徒歩3分です。これは非常に強い。
設備は古くなる。内装も古くなる。しかし、
駅までの距離は劣化しません。
特に都心では、駅近の土地を新たに大量供給することはできません。だから築年数が進むほど、駅距離のような変わらない価値が効いてくると思います。
10.そして「建替えられるか」
最後はもっと長い話です。築50年、60年、70年となったとき、
修繕して使い続けるのか。大規模に改修するのか。
建替えるのか。敷地を売却するのか。
これはマンションごとに違います。国も2026年4月施行の改正制度で、建替えだけではなく、一棟リノベーション、一括売却、取壊しなどマンション再生の選択肢を広げています(国交省 マンション関係法改正)。
つまり将来の価値を見るなら、「建替えできるか」だけでなく、「将来どんな再生方法を選べるマンションなのか」まで考える時代に入っています。
「築30年」は、マンションの賞味期限ではない
実際の市場では、築30年を超えたマンションが大量に取引されています。だから私は、築30年になったら価値がなくなるとは考えていません。
むしろ築年数が進むほど、
立地/管理/戸数/修繕履歴/共用部/間取り/再開発/駅距離/ブランド/将来の再生可能性
こうした「築年数以外の差」が価格に表れてくるのではないでしょうか。
30年後にも、名前で選ばれるマンション。これが私なら最後に見るポイントです。
30年後。新築ではありません。設備も今より古くなっています。それでも、「このマンションに住みたい」という人がいるか。
駅前だから。街がいいから。管理がいいから。眺望がいいから。エントランスが好きだから。間取りがいいから。そして、そのマンションだから。
マンションを買うということは、部屋を買うだけではありません。土地と、建物と、管理と、街と、そのマンションがこれから積み重ねる時間を買う。
だから私は、「今いくらか」だけではなく、「30年後にも選ばれる理由が残っているか」を考えます。
国土交通省|マンションストック長寿命化等モデル事業
国土交通省|マンション関係法改正(2026年4月施行・再生手法の拡充)
その中古マンション、30年後も選ばれますか。
立地・管理・修繕履歴・戸数・再開発まで、一件ごとにお調べします。買う前でも、売る前でも、どうぞお気軽に。
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