
30年後も価値が残るタワーマンションは?都心・湾岸の実例から考える
30年後も価値が残る
タワーマンションとは?
東京・湾岸の実在マンションを見ながら考える。
第1回から第4回まで、マンションの寿命、修繕積立金、管理費、共用部、そして築30年・40年になっても売れるマンションについて考えてきました。では、実際のマンションではどうでしょうか。
今回は「将来値上がりするマンションランキング」ではありません。私自身がマンションを見るときに感じる、
立地。規模感。共用部。作り込み。
管理。駅距離。再開発。
そして、新しさがなくなった後にも魅力が残るか。
という視点から、東京・湾岸のタワーマンションを考えてみます。当然、将来の価格を断定することはできません。
ただ、30年後に築年数だけでは評価されないマンションには、何かしらの「古くならない理由」が必要だと思っています。
センチュリーパークタワー
「古さ」が「味」に変わり始めている(1999年竣工・佃/月島)
1999年竣工のセンチュリーパークタワー。築年数だけを見れば、すでに新しいマンションではありません。しかし実際に建物を見ると、単純に「古いタワーマンション」という印象ではありません。
まず感じるのが、規模感です。そして石を意識した内装や重厚な共用部など、かなり作り込まれています。新しいマンションのような華やかさとは違う。むしろ時間が経ったことで、古さが少しずつ「味」になっている。私はここが非常に面白いと思っています。
一方で、すべての共用施設が将来まで必要かというと、そこは別問題です。例えばカードルームなどを見ると、建設された時代の豊かさ、ある意味ではバブル期から続く高級住宅の価値観を感じます。今後30年、それが本当に必要なのか。利用され続けるのか。維持費に見合うのか。これは考える必要があります。
つまりセンチュリーパークタワーは、「豪華な共用部があるから価値がある」のではなく、その中で何が時代を超えて残るのかを見る格好の例だと思います。
東京ツインパークス
新しいタワーとは違う「建物そのものの存在感」(2002年竣工・汐留/浜松町)
東京ツインパークスにも、センチュリーパークタワーと似たものを感じます。こちらも2002年竣工。しかし、浜松町・汐留・新橋に近いロケーションに加えて、まず建物そのものに相当な規模感があります。
近隣にはその後、新しい高級タワーマンションも建っています。それでも東京ツインパークスには、「新しい=上位」とは簡単に言えない存在感があります。エントランスや共用空間の作り込み。建物全体のスケール。浜離宮に隣接する立地。そして二棟で形成される景観。こうしたものは後から簡単に追加できません。
ここでもセンチュリーパークタワーと同様、「築年数が進むこと」と「魅力が失われること」は必ずしも同じではないと感じます。新しい設備はいずれ古くなります。しかし、建物そのもののスケールや素材感、立地は残ります。これが将来ヴィンテージと呼ばれるマンションと、単に古くなるマンションの違いの一つなのかもしれません。
芝浦アイランド
規模感は強い。ただし、新しいライバルが現れた(田町)
芝浦アイランドは少し違います。ケープタワー1,095戸、グローヴタワー833戸を中心とする大規模開発であり、街としての規模感は今でも大きな魅力です。
一方、センチュリーパークタワーや東京ツインパークスと比較すると、共用部の素材感や作り込みについては、私はやや差を感じます。そして芝浦には、その後、ブランズタワー芝浦、プラウドタワー芝浦という新しい選択肢が登場しました。
ここが面白いところです。芝浦アイランドは規模感では強い。一方でブランズタワー芝浦やプラウドタワー芝浦には、新しさと駅距離という非常に分かりやすい強みがあります。現時点なら、この二つの要素では新しい2棟に軍配が上がると私は感じます。
では、20年後はどうでしょう。その頃には「新しさ」という差はかなり小さくなっています。そこで改めて、芝浦アイランドという街の規模感がどこまで価値として残るのか。これは今後かなり興味深い比較になると思います。
▸ 芝浦の新しいタワー(ブランズ/プラウド芝浦)を芝浦完全ガイドで見る
キャピタルゲートプレイス
駅直結という、ほとんど古くならない価値(月島)
キャピタルゲートプレイスの強さは非常に分かりやすい。月島駅直結です。設備は30年後には古くなります。専有部はリフォームできます。しかし駅直結という条件は基本的に変わりません。
タワー単体で見ると、センチュリーパークタワーや東京ツインパークスほどの圧倒的な規模感は感じないかもしれません。もっとも、低層のレジデンス棟まで含めれば、開発全体としては十分な規模があります。
そして私が好きなのが共用部です。照明を少し落とした空間づくりで、派手に明るく見せるのではなく、落ち着いた高級感があります。こうしたデザインが時間に耐えられるかは重要です。
さらに月島・勝どき周辺では再開発が続いています。駅直結+周辺の街の成長。これは30年後を考えても、かなり強い組み合わせだと思います。
パークタワー勝どき
問題は「新しさ」が消えた後(勝どき)
パークタワー勝どきはまだ新しい。ですから、30年後の評価について今断定することはできません。ただ、立地面では勝どきの大規模再開発を考えると、長期的に選ばれる理由はかなりあります。
さらに今後、街区全体が完成してトリプルタワーとしての景観と規模感が形成されれば、一つの巨大な街として認識される可能性があります。
私がむしろ気になるのは、建物の方です。現在の共用部は非常に使いやすく、多くの人に好まれやすいデザインです。ただ、新しさがなくなった30年後にも、それが「味」になるのか。センチュリーパークタワーや東京ツインパークスには、すでにその兆候があります。パークタワー勝どきの現代的な共用空間が30年後にどう評価されるのか。これはまだ答えがありません。だからこそ面白いと思っています。
アーバンドック パークシティ豊洲
マンションというより「公園の中に住む」ような規模感(豊洲)
アーバンドック パークシティ豊洲は、湾岸の中でもかなり特殊な存在だと思います。まず規模が大きい。そして、ららぽーと豊洲と地下通路でつながっています。ルートはそれなりに歩きますが、駅から雨に濡れにくい動線で帰宅できるというのは大きな特徴です。
さらに私が感じるのは、単なるタワーマンションらしさとは少し違う雰囲気です。敷地に余裕があり、緑があり、水辺がある。都心部の低層高級マンションのような落ち着きと、大きな公園の中に住宅があるような感覚があります。これも後から作るのが難しい価値です。
専有部の設備は交換できます。しかし、この敷地、この規模、この余白、ららぽーととの一体性は交換できません。築年数が進むほど、こうした「作り直せないもの」の価値が効いてくるマンションではないでしょうか。
ブランズタワー豊洲
新しさを除いても、残るものが多い(豊洲)
ブランズタワー豊洲は、現時点では新しさが大きな魅力です。ただ私は、それだけのマンションではないと思っています。
まずエントランス。吹き抜けによる圧倒的な規模感があります。新しいからきれいなのではなく、空間そのものが大きい。そして立地。豊洲駅と新豊洲の間に位置し、水辺にも近い。周囲の建物との距離があり、方向によっては広い抜けを期待できる立地です。さらに、がすてなーに周辺など今後の街づくりも考えられます。
つまり、新しさがなくなった後にも残る材料が多い。
駅。水辺。規模。眺望。街。再開発。
30年後を考えるなら、こうした「交換できないもの」がどれだけ残るかが重要です。
Wコンフォートタワーズ
「大規模」であること自体が武器になる(東雲)
東雲のWコンフォートタワーズも面白いマンションです。まず規模感があります。そして東雲の大規模マンション群の中では、辰巳駅へのアクセスが比較的良い。もっとも、橋を渡るときに湾岸特有の強い風を感じる日はあります。これは現地を歩いてみないと分からない部分です。
それでも駅距離、戸数、規模感という分かりやすい要素があるため、将来中古市場でも比較対象を作りやすいマンションだと思います。
ここで比較したいのが、パークタワー東雲です。パークタワー東雲はWコンフォートほどの規模ではありませんが、パークタワー勝どきにも通じる、比較的多くの人に受け入れられやすい共用空間を作り込んでいます。
つまり、圧倒的な規模を取るか。共用部の商品力を取るか。同じ東雲でも、価値の作り方が違います。
この比較は「30年後に何が残るか」を考えるうえで面白いと思います。
ブリリアマーレ有明
共用部そのものがマンションのブランドになった例(有明)
有明では、ブリリアマーレ有明を外せません。駅距離。規模。築年数。数字だけを並べれば、必ずしも有明の中ですべてが圧倒的というマンションではありません。それでも人気がある。
大きな理由の一つが、共用部の作り込みのうまさだと思います。単純に施設数が多いという話ではありません。「このマンションに住みたい」と思わせる世界観を共用部で作っています。その結果、外廊下であることさえ、購入検討者によっては大きなマイナスにならないことがあります。
これは第2回・第3回で考えてきた、「共用部は無駄なのか」という問いに対する一つの答えです。きちんと作り込まれ、マンションの個性になれば、共用部そのものがブランドになる。ブリリアマーレ有明は、その好例だと思います。
シティタワーズ東京ベイ
新しさだけでは売れない。街が変われば評価も変わる(有明)
ブリリアマーレ有明と対比したいのが、シティタワーズ東京ベイです。大規模。新しい。駅に近い。商業施設と一体。条件だけを並べれば非常に強いマンションです。しかし竣工時期が新型コロナ禍と重なり、販売環境として難しい時期を経験しました。
ここから分かるのは、新しいから必ず評価されるわけではないということです。
一方、その後の有明は街そのものが変化しています。有明ガーデン。国際展示場。イベント施設。ホテル。交通環境。街の完成度が上がれば、マンションの評価も変わります。
ブリリアマーレが共用部によってマンション単体のブランドを作ったとすれば、シティタワーズ東京ベイは、街との一体性によって価値を作っていくタイプと見ることができます。この2棟は同じ有明でも非常に対照的です。
比較すると「古くならないもの」が見えてくる
ここまで見てくると、単純なランキングにはできません。それぞれに、違う「古くならない理由」があります。
| センチュリーパークタワー/東京ツインパークス | 時間が味になる作り込み |
| 芝浦アイランド | 街としての規模 |
| キャピタルゲートプレイス | 駅直結 |
| パークタワー勝どき | 完成していく巨大な街区 |
| パークシティ豊洲 | 土地の余白と商業・水辺の一体性 |
| ブランズタワー豊洲 | 駅・水辺・規模感・将来の街づくり |
| Wコンフォートタワーズ | 大規模であることと駅アクセス |
| ブリリアマーレ有明 | 共用部そのものが作ったブランド |
| シティタワーズ東京ベイ | 街と一緒に成長する可能性 |
どれも同じ価値ではありません。
30年後を考えるなら「新しさ」を一度消してみる
マンションを見ていると、新しい物件は当然魅力的に見えます。そこで私は、頭の中で一度、「新しい」という価値を消してみます。30年後なら、どちらも中古です。そのとき何が残るでしょう。
比較的残りやすいもの——
立地/駅距離/敷地/規模感/眺望/共用部の骨格/素材/街/ブランド/管理
必ず失われるもの——
最新設備/新築時の内装/流行のデザイン/新しいという印象
だから、新しさがなくなった後にも、選ぶ理由があるか。私はこれを、中古・新築を問わずマンションを見る一つの基準にしています。
マンションがこれから50年、70年と使われるようになるなら、日本でも、単に古いマンションと、ヴィンテージとして評価されるマンションの差が、もっとはっきりしてくると思います。
そしてその差を作るのは、築年数だけではない。
立地 × 規模感 × 作り込み × 管理 × 街 × 時間。
マンションを買うということは、今の部屋を買うだけではありません。その建物が30年後に、どんな顔をしているのか。そこまで想像してみる。
私は長く所有するマンションほど、そんな選び方をしたいと思っています。
田町・芝浦から勝どき・晴海・豊洲・有明・東雲まで。湾岸タワーマンションガイドへ。
購入・売却を相談する。
気になるマンションが決まっている方も、まだ迷っている方も。立地・管理・修繕・将来の再生可能性まで、一件ごとに一緒に読み解きます。物件より先に、まずはお話を。
フォームで相談する株式会社 blue blooded / 田町駅 徒歩4分・完全予約制。急かすことも、勧誘もいたしません。