タイトル:利上げで不動産はどうなる?|イラン情勢で原油・金利低下、円安と日銀の牽制を読む【後編】の画像

タイトル:利上げで不動産はどうなる?|イラン情勢で原油・金利低下、円安と日銀の牽制を読む【後編】

市況と、投資の読み方

利上げで不動産はどうなる?|イラン情勢で原油・金利低下、円安と日銀の牽制を読む【後編】

マーケットと、不動産

◀ 前編 世界が利上げした 後編 地政学が動いた

そして週末、風向きが変わった。

地政学が動いた一週間と、金利のある世界で不動産をどう見るか。(後編・全2回)

2026.09.21

世界同時利上げの週末、地政学が動きました。イランが戦闘終結の条件を提示し、原油と長期金利は低下、株と暗号資産は反発。一方でドル円は円安へ進み、日銀は口先介入で牽制。金利・原油・地政学・為替が同時に動くなかで、不動産をどう見るか。前編の続きとして、後編でお伝えします。

前編のおさらい:ECB・FRB・日銀が相次いで利上げ(日銀1.25%・7対2、FRB3.75〜4.00%・全会一致、ECB0.25%)。それでも株式市場は崩れず、金は上昇、原油は下落した。市場が見ているのは「あと何回・どこまで上げるのか」だった。まだの方は前編からどうぞ。

利上げという金融面の大イベントを通過した、その週末。今度は地政学の面で、大きな動きがありました。

イランが、戦闘終結の条件を提示した

9月19日、イラン最高国家安全保障会議のモフセン・レザイ事務局長が、衛星テレビ局アル・ジャジーラのインタビューなどで、米国との戦闘終結に向けた条件を、仲介国カタールを通じて米側に伝えたと明らかにしました[1][2]。条件には、あらゆる前線での戦闘停止、イラン資産の凍結解除、米軍による海上封鎖の解除などが含まれるとされます。レザイ氏は「トランプ大統領の返答を待っている」としています[1]

戦闘はなお続いており、これで即座に終結が確定したわけではありません。ただ、当事者から具体的な条件が公式に示され、「返答を待つ」局面に入ったこと自体が、市場にとっては大きな材料でした。長く続いた中東情勢の緊張——それはECBやFRBが利上げの理由に挙げてきた、エネルギー価格上昇の根っこでもあります——に、緩和の道筋が見え始めたからです。

原油・金利が下がり、株・暗号資産が反発した

紛争終結への期待は、まず原油に表れました。中東の緊張が和らげば、エネルギー供給の混乱懸念が後退し、原油価格には下押し圧力がかかります。原油が下がれば、インフレ圧力も和らぐと見られ、長期金利にも低下方向の力が働きます。そして「金利のピークが近いかもしれない」という見立ては、株式や暗号資産といったリスク資産の反発につながりました。

週末にかけての、おおまかな方向

原油紛争終結期待で下落方向。エネルギー由来のインフレ懸念が後退。
長期金利インフレ鈍化観測から低下方向。
株式・暗号資産リスクオンで反発。
ドル円円安方向。日銀の会見が想定ほどタカ派でなかったことも重なる。

※ 直近の値動きの方向感です。個別の変動幅は時点により異なります。

金融引き締め(利上げ)は、本来リスク資産に逆風です。しかしそこへ、地政学リスクの後退という順風が重なった。この綱引きのなかで、週末の市場はリスクを取る方向に傾きました。前編で見た「利上げなのに株高」という現象に、もう一段の追い風が加わった形です。

円だけは、逆を向いた

ただ、円は別でした。日銀が利上げしたにもかかわらず、ドル円はむしろ円安方向へ進んでいます[3]。利上げは通常、その国の通貨にとって買い材料のはず。それでも円安が続くのは、日米の金利差がなお大きく、植田総裁の会見が市場の期待ほどタカ派ではないと受け止められたためと見られます。

この円安に対し、当局も動きました。日銀は9月18日、金融機関に為替水準を問い合わせる「レートチェック」を行ったと報じられています[4]。これは実際に円を買う「実弾」の介入ではなく、「これ以上の円安は見過ごさない」という市場への牽制——いわゆる口先介入に近い動きです。7月末には28年ぶりの日米協調介入もあり、当局は行き過ぎた円安を警戒しています。利上げしてなお円安、そして当局が牽制する——ここに、いまの日本の難しさが表れています。

この一週間を、不動産はどう見るか

金利、原油、地政学、為替。これだけの要素が同時に動いた一週間でした。では、不動産にとってはどうか。「日銀が利上げした。だから不動産価格は下がる」と考えたくなりますが、それほど単純ではありません。

金利上昇は、確かに住宅ローンの借入可能額や投資利回りに影響します。一方で、建築費、人件費、土地価格、賃料、インフレ——これらが高止まりすれば、不動産価格には下支え要因になります。つまり、金利だけを見ても、答えは出ません。

金利が上がっても、賃料も上がる。
金利が上がっても、建築費も上がる。
金利が上がっても、所得や企業収益が伸びる。
その組み合わせで、不動産への影響は大きく変わります。

今回の一週間は、その難しさを凝縮していました。利上げは進む。しかし原油が下がればインフレは和らぎ、金利上昇の勢いも変わる。地政学が落ち着けば、また別の力が働く。円安は輸入物価を通じて建築費に効く。どれか一つだけを取り出して「だから上がる/下がる」とは言えないのです。

私たちが大切だと考えているのは、一つの数字だけで判断しないことです。「金利が上がった」という見出しだけで、買い時・売り時を決めない。その金利が、どこまで上がるのか。その間に、賃料・所得・物価・建築費がどう動くのか。個別の物件は、その立地と管理で価値がどう変わるのか。そこまで見て、初めて次が見えてきます。マンションの資産価値を長い目で見る考え方は、タワーマンションは100年後どうなるのかの連載にもまとめています。

利上げの「回数」より、その先を見る

この一週間を、「日銀が1.25%になった」「FRBも0.25%上げた」というニュースだけで終わらせると、大きな流れを見落とします。ECBも、FRBも、日銀も利上げした。それでも世界の株式市場は崩れなかった。そして週末、イランが終結条件を示し、原油と金利は下がり、株と暗号資産は反発した。市場が次に考え始めるのは、「次に上げるか」ではなく「どこまで上げるのか」。中央銀行が利上げを続ける世界から、利上げの終着点を探す世界へ。今回の一週間は、その境目になる可能性があります。

不動産についても同じです。金利が上がったという一つの数字だけでなく、その金利がどこまで上がるのか、その間に賃料・所得・物価・建築費がどう動くのか。そこまで見て、初めて不動産市場の次が見えてきます。金利が1%台に入り、日本でも「金利のある世界」が現実になりました。だからこそ、一つの数字に振り回されず、全体を見て考えることが、これまで以上に大切になります。

出典・参考(いずれも執筆時点で確認できた公開情報)

  1. 産経新聞・読売新聞・アル・ジャジーラ(2026年9月19〜20日)。イラン最高国家安全保障会議レザイ事務局長が、戦闘終結条件をカタール経由で米側に提示、返答待ちと表明。
  2. 各国通信社(2026年9月19日)。条件は全前線の戦闘停止・資産凍結解除・海上封鎖の解除等。
  3. 読売新聞・各社報道(2026年9月18日)。日銀利上げ後も、対ドルで円安が進行(一時157円台)。
  4. 外為どっとコム等の為替レポート(2026年9月18〜21日)。日銀のレートチェック報道、円安地合いの継続。7月末に28年ぶりの日米協調介入。

※ 本記事は執筆時点の公開情報に基づく解説で、一部に筆者の見方を含みます。地政学・市況・金利・為替の状況は日々変化します。将来の価格や相場を保証するものではなく、特定の投資・売買を推奨するものでもありません。

金利のある世界で、不動産をどう見るか。

金利が1%台に入り、日本でも「金利のある世界」が現実になりました。買うべきか、待つべきか。売るべきか、持ち続けるべきか。物件のURLやご希望を送っていただければ、金利・賃料・建築費・立地まで含めて、数字でご一緒に考えます。匿名でも、他社で検討中でも構いません。

いまの状況を、相談してみる

匿名可・物件未定でも可・オンライン/海外対応

不動産は、物件から始めない。先に、お話を。

株式会社 blue blooded / 田町芝浦サロン ★Googleクチコミ 4.9 
田町・芝浦・三田/港区・品川・中央区・江東区/湾岸エリアを中心に、一都三県から全国・海外まで。

”市況と、投資の読み方”おすすめ記事

  • タイトル:利上げなのに、なぜ株は上がったのか|日銀1.25%・FRB・ECB 世界同時利上げ【前編】の画像

    タイトル:利上げなのに、なぜ株は上がったのか|日銀1.25%・FRB・ECB 世界同時利上げ【前編】

    市況と、投資の読み方

  • 金利上昇局面で、東京のマンション市場に何が起きているのか|成約減・在庫増、それでも高額帯は売れているの画像

    金利上昇局面で、東京のマンション市場に何が起きているのか|成約減・在庫増、それでも高額帯は売れている

    市況と、投資の読み方

  • では、これからどの不動産を買うのか|金利上昇局面で「これから選ばれる場所」を考えるの画像

    では、これからどの不動産を買うのか|金利上昇局面で「これから選ばれる場所」を考える

    市況と、投資の読み方

  • 政策金利2%で、東京のマンションは本当に下がるのか|日銀・インフレ・住宅ローンを考えるの画像

    政策金利2%で、東京のマンションは本当に下がるのか|日銀・インフレ・住宅ローンを考える

    市況と、投資の読み方

  • 「芝浦のタワーマンション7物件比較|GFT・ブランズ・プラウド・キャピタル・ベイワード・グローヴ・ケープ」の画像

    「芝浦のタワーマンション7物件比較|GFT・ブランズ・プラウド・キャピタル・ベイワード・グローヴ・ケープ」

    市況と、投資の読み方

  • 東京のマンション価格に、変化が出ている。|23区の中古マンションは本当に下落したのかの画像

    東京のマンション価格に、変化が出ている。|23区の中古マンションは本当に下落したのか

    市況と、投資の読み方

もっと見る