
豊洲の地盤は大丈夫?|1〜6丁目の液状化・水害・土壌汚染とマンションを徹底解説
豊洲の地盤は大丈夫?
1〜6丁目の液状化・水害・土壌汚染とマンションを徹底解説
豊洲のマンションや賃貸を検討するとき、「豊洲は埋立地だけど、地盤は大丈夫?」「液状化は?」「高潮や水害は?」「豊洲市場の土壌汚染は住宅地にも関係する?」と気になる方は少なくありません。
ただ、豊洲を調べていくと、単純に「埋立地だから」という一言では説明できない街であることが分かります。
豊洲1丁目、2丁目、3丁目、4丁目、5丁目、6丁目。
同じ「東京都江東区豊洲」という住所でも、街が形成された時期、以前の土地利用、現在建っているマンションや商業施設、そしてハザードマップの見え方まで違います。
豊洲2・3丁目には、かつてIHIにつながる東京石川島造船所がありました。現在ではIHI本社、芝浦工業大学豊洲キャンパス、アーバンドック ららぽーと豊洲、豊洲ベイサイドクロス、企業オフィス、ホテル、マンションなどが並ぶ街へ変わっています。
一方、豊洲5丁目から6丁目、新豊洲方面へ進むと、街が造られた時期も土地の履歴も変わります。
だから私たちは、
「豊洲は安全か、危険か」ではなく、
「豊洲のどこなのか」から見ます。
豊洲の地盤と液状化|「埋立地だから」で終わらせない
豊洲は東京湾岸の埋立地です。
したがって、マンション購入や賃貸を考える際に液状化を確認することには意味があります。
東京都は最新の「東京の液状化予測図 令和7年度改訂版」を公開しています。
ただし、この予測図は特定の地震で実際にどこが液状化するかを断定するものではありません。
さらにマンションの場合、土地が液状化する可能性と建物そのものが地震にどう対応するかは分けて考える必要があります。
支持地盤、杭、地盤改良、基礎構造、免震・制震などは建物によって違います。
2011年、豊洲で実際に液状化は起きたのか
予測図だけでなく、過去に実際何が起きたのかも見ます。
東日本大震災では、江東区内の湾岸部で液状化が発生しました。
江東区の記録では、豊洲5-6で液状化が確認されています。
一方、豊洲3-5については液状化の報告があったものの、区の現地確認では確認できなかったとされています。
ここで大切なのは、「豊洲で液状化した」という大きな括りで終わらせないことです。
何丁目なのか。どの街区なのか。さらにマンションなら、その敷地の地盤調査と建物構造はどうなっているのか。
そこまで進んで初めて、個別の物件を見ることができます。
豊洲の水害|洪水・内水・高潮は全部違う
江東区は水害ハザードマップを、洪水、大雨浸水(内水)、高潮に分けて公表しています。
この3つを一緒に考えないことが大切です。
洪水|「海に近いから洪水」という話ではない
洪水ハザードマップは主に河川の氾濫を想定したものです。
そのため、東京湾に近い豊洲だから洪水ハザードが必ず高い、ということにはなりません。
豊洲周辺には、洪水想定で色の付かない区域が広くあります。
海に近いかどうかではなく、何を原因とする水害を見ている地図なのか。まずここを区別します。
内水|大雨による浸水を見る
内水氾濫は、河川の堤防が決壊する災害とは違います。
短時間に大量の雨が降り、下水道などの排水能力を超えた場合に起こる浸水です。
豊洲駅側と新豊洲側を比較すると、同じ豊洲でもハザードマップの色の出方に違いがあります。
だから水害についても、「豊洲」という駅名だけでは判断しません。
高潮|豊洲駅側と新豊洲側で見え方が違う
高潮は、台風などによって東京湾の海面が上昇して発生する水害です。
高潮ハザードマップを見ると、豊洲駅側と新豊洲側で浸水想定の分布に違いが見られます。
これは非常に興味深いところです。
ただし、「新豊洲は新しいから高潮に強い」と、それだけで因果関係を断定することはできません。
造成時期、地盤高、護岸、排水設備、都市計画などを重ねて見る必要があります。
火災・建物倒壊危険度|豊洲1〜6丁目はすべてランク1
東京都の「地震に関する地域危険度」では、
豊洲1丁目
豊洲2丁目
豊洲3丁目
豊洲4丁目
豊洲5丁目
豊洲6丁目
すべてについて、
建物倒壊危険度 ランク1
火災危険度 ランク1
総合危険度 ランク1
となっています。
これも豊洲を見るうえで重要です。
「埋立地だから地震に弱い」という一言では説明できないからです。
東京都の地域危険度では、建物倒壊・火災・総合危険度はいずれも1〜6丁目でランク1です。ただし、これは町丁目単位の市街地特性を評価したもので、特定マンションそのものの耐震性能を示す数字ではありません。
一方で、液状化については別に確認する必要があります。
つまり、地震リスクも一種類ではありません。
新豊洲は「東京ガスの土地」だけではない
ここは少し注意が必要です。
豊洲2・3丁目を「IHI造船所跡地」と見ることは比較的分かりやすいのですが、「新豊洲=東京ガス工場跡地」と一括りにするのは正確ではありません。
豊洲6丁目・新豊洲周辺には、東京ガスだけでなく、東京電力、東京鉄鋼埠頭など、工業・港湾・エネルギー関連のさまざまな土地利用履歴があります。
さらに土地区画整理によって土地も組み替えられています。
だからSKYZ、BAYZなどを見る場合も、「新豊洲だから」ではなく、その敷地が以前何だったのかまで確認する必要があります。
豊洲市場の土壌汚染問題とは何だったのか
豊洲の土地を語るうえで避けられないのが、豊洲市場です。
豊洲市場用地は、かつて東京ガスのガス製造工場として使用されていました。
東京都によると、ガス製造に由来するベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなどについて土壌・地下水汚染が確認されました。
東京都は専門家会議・技術会議による検討を経て、土壌・地下水対策、液状化対策、地下水管理などを実施しています。
重要なのは、
豊洲市場で土壌汚染が確認された
=
豊洲全域が土壌汚染されている
ということではない点です。
一方で、住宅地や別街区については、豊洲市場の調査結果をそのまま当てはめるのではなく、必要に応じてその敷地ごとの旧用途や土壌関連資料を確認します。
新豊洲では、土地の「前歴」まで見る
新豊洲方面の一部では、過去の調査で砒素や鉛などについて土壌環境基準を超えた区域が公表されています。
ただし、それらをすべて東京ガスの事業に由来する汚染と考えることもできません。
換地前の所有者を調べると、東京鉄鋼埠頭、東京都、東京電力なども出てきます。
現在の所有者だけを見ても、その土地の歴史は分からない。
これは中古マンションを見るときにも同じです。現在きれいな街が広がっているからこそ、必要に応じてその前に何があったのかまで遡ります。
豊洲1丁目から6丁目まで|同じ「豊洲」でも街の性格が違う
豊洲1丁目
豊洲の北西側、運河に囲まれた住宅地です。豊洲駅前の大規模商業エリアとは少し雰囲気が異なり、住宅を中心とした街並みが形成されています。
豊洲2丁目
現在の豊洲を象徴する場所の一つです。
アーバンドック パークシティ豊洲、アーバンドック ららぽーと豊洲、豊洲ベイサイドクロスなど、大規模な住宅・商業・オフィス開発が集まっています。
豊洲ベイサイドクロスタワーは東京メトロ有楽町線豊洲駅と地下で直結し、オフィス、商業施設、ホテルなどで構成される大規模複合施設です。
豊洲3丁目
IHI本社、芝浦工業大学豊洲キャンパス、企業オフィスと大規模マンションが集まるエリアです。
住宅では、THE TOYOSU TOWER(ザ・豊洲タワー)、シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン、シティタワーズ豊洲 ザ・シンボルなどがあります。
企業・業務施設と住宅、大学が隣接しているのが豊洲3丁目の特徴です。かつて造船所を中心としていた場所が、住宅・企業・教育の街へ変わった歴史を現在の街並みからも見ることができます。
豊洲4丁目
豊洲駅東側に広がる住宅地です。
東京フロントコート、スターコート豊洲などの大規模マンションがあり、2・3丁目の再開発街区とは少し違った住宅地の表情を持っています。
豊洲5丁目
豊洲駅南側から新豊洲へつながるエリアです。
ブランズタワー豊洲、豊洲シエルタワーなどがあり、住宅だけでなく学校、医療施設、商業施設なども集積しています。
豊洲シエルタワーは、総戸数565戸のうち395戸がUR都市機構によって賃貸住宅として供給された経緯を持つ大規模複合タワーです。
そして地盤を見るうえでは、東日本大震災時に江東区が「豊洲5-6」で液状化を確認していることも押さえておきたいところです。
ただし、これは番地単位の記録であり、特定のマンション敷地そのものが液状化したことを意味するものではありません。
豊洲6丁目・新豊洲
さらに南へ進むと新豊洲です。
SKYZ TOWER & GARDEN、BAYZ TOWER & GARDEN、豊洲市場、がすてなーに ガスの科学館などがあります。
ここまで来ると、豊洲2・3丁目とは土地の履歴も、街区が形成された時期もかなり違ってきます。
豊洲2・3丁目|IHI造船所跡地から「職・住・遊・学」の街へ
豊洲の歴史を知るうえで、IHIは外せません。
IHIの資料では、豊洲2・3丁目の約50haで、IHIの造船工場がその大半を占めていたことが確認できます。
1939年から豊洲で造船事業が行われ、その後の土地利用転換によって現在の街が造られてきました。
現在では、IHI本社、芝浦工業大学豊洲キャンパス、アーバンドック ららぽーと豊洲、豊洲ベイサイドクロス、企業オフィス、商業施設、ホテル、マンションなどが集まっています。
住宅も、アーバンドック パークシティ豊洲、THE TOYOSU TOWER、シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン、シティタワーズ豊洲 ザ・シンボルなど、現在の豊洲を代表するマンションが並びます。
つまり、現在の豊洲2・3丁目は、最初から住宅地として造られた街ではありません。
造船所の街から、住宅・商業・企業・大学が共存する街へ。
この土地利用の大転換を知っておくと、豊洲の見え方はかなり変わります。
豊洲は分譲タワーマンションだけの街ではない
豊洲というと、タワーマンションのイメージが強いかもしれません。
実際、アーバンドック パークシティ豊洲、THE TOYOSU TOWER、シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン、シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル、パークタワー豊洲、ブランズタワー豊洲、SKYZ TOWER & GARDEN、BAYZ TOWER & GARDENなど、東京湾岸を代表する分譲マンションがあります。
一方で、東京フロントコート、スターコート豊洲などの大規模マンションもあります。
さらに豊洲には、キャナルスクウェア豊洲、ロイヤルパークス豊洲、エスティメゾン豊洲レジデンスなど、大規模な賃貸住宅もあります。
豊洲シエルタワーも、UR賃貸として供給された395戸を含む大規模複合タワーです。
つまり豊洲は、分譲マンションを購入して住む街であると同時に、賃貸で住む選択肢も多い街です。
最初は豊洲の賃貸マンションに住み、その後豊洲でマンションを購入する。あるいは、家族構成や仕事の変化に合わせて豊洲の中で住み替える。
そうした選択がしやすい住宅の厚みも、豊洲の特徴です。
マンションだけではない|豊洲の商業施設・学校・企業
現在の豊洲には住宅だけでなく、アーバンドック ららぽーと豊洲、豊洲ベイサイドクロス、豊洲市場、IHI本社、芝浦工業大学豊洲キャンパスなど、商業・企業・教育施設が集まっています。
小学校・中学校、保育施設、医療施設、公園などもあり、住宅だけで完結する街ではありません。
IHIが豊洲2・3丁目について「職・住・遊・学」と表現しているのは、現在の豊洲の性格をよく表しています。
不動産を見るときも、マンション単体だけではなく、駅、商業施設、学校、企業、公園、医療、交通、将来の街づくりまで見ることで、実際の暮らしや不動産としての性格が見えてきます。
豊洲と新豊洲|同じ湾岸でも、造られた時代を見る
これは、私たちが普段不動産を見ている田町・芝浦周辺にも通じます。
浜松町と芝浦。隣接する湾岸エリアでも、街が形成された時代、道路、街区、土地利用は違います。
芝浦も、豊洲と同じように「湾岸だから」でまとめず、埋立の履歴、液状化、水害、現在のマンションまで地域単位で見ています。
豊洲と新豊洲にも似たところがあります。
湾岸だから全部同じではありません。
いつ造られたのか。
以前は何だったのか。
どのように街区が造られたのか。
現在どんな建物があるのか。
そこまで見ると、ハザードマップ一枚だけでは分からない街の違いが見えてきます。
がすてなーに閉館後、新豊洲はこれからも変わる
東京ガスは「がすてなーに ガスの科学館」を2026年9月23日で閉館すると発表しました。
閉館後は建物を改修し、新たな形態での開業を目指すとしています。
新豊洲は、完成後の街並みだけを見るのではなく、今後の土地利用や施設更新も確認したい場所です。
以前は何だったのか。
現在はどう使われているのか。
これからどう変わるのか。
この3つを重ねて見ます。
豊洲のマンションを見るとき、私たちはここまで見る
たとえば、パークシティ豊洲、THE TOYOSU TOWER、シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン、シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル、東京フロントコート、スターコート豊洲、ブランズタワー豊洲、SKYZ、BAYZ。
同じ豊洲のマンションでも条件は違います。
まず住所を確認します。豊洲何丁目なのか。
次に、地形・地盤、埋立の履歴、液状化予測、2011年の液状化実績、洪水、内水、高潮、火災危険度、建物倒壊危険度、過去の土地利用、土壌汚染に関する公表資料を重ねます。
そこから建物へ進みます。
支持地盤、基礎構造、免震・制震、受変電設備、非常用発電設備、止水対策、管理状況、修繕計画。
そして最後に住戸です。
階数、方角、眺望、日照、間取り、管理費、修繕積立金、駐車場、周辺環境、将来売却するときの競合住戸。
記事を書くために調べているのではありません。
物件を見るときに調べていることを、記事にも残しています。
そこも、私たちの仕事です。
「豊洲は大丈夫?」ではなく、「この一件はどうか」
ここまで見ると、「豊洲の地盤は大丈夫ですか?」という質問に、一言では答えられない理由が分かります。
豊洲1丁目と6丁目では違います。
IHI造船所跡地を中心に再開発された2・3丁目と、新豊洲側では土地の履歴が違います。
洪水、内水、高潮でも見え方が違う。
火災・倒壊危険度は1〜6丁目すべてランク1。
液状化は別に見る必要がある。
土壌汚染も、豊洲市場だけを見るのではなく、必要に応じて土地の旧用途まで確認する。
だから私たちは、
豊洲だから選ぶ。
豊洲だから選ばない。
とは考えません。
豊洲は、かつての造船所や工業用地が、住宅と仕事、学びと暮らしの街へ変わってきた場所です。
地盤の資料を読むことと、街を歩いて建物を見ること。その両方を重ねると、同じ「豊洲」の中にも、さまざまな表情が見えてきます。
気になる一棟が見つかったとき、その土地が歩んできた時間も、住まい選びの一つの手がかりになります。