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数億円の顧客に嫌がられた話。それでも余計なことをやめない理由。

決済前の顧客は、精神的にギリギリの状態にある。 数億円の売買をするという意思決定がどれほどのプレッシャーか。 ローンの審査、引き渡しのタイミング、家族への説明、資金繰り——頭の中はそれだけで埋まっている。 そこに仲介業者がいちいち口を挟んでくる。普通に考えれば、煩わしい。 わかっていても、やめられない。 気になる点があれば伝える。損をしそうなら指摘する。見落としがあれば話す。「それは仲介の仕事じゃない」と言われればそれまでだが、黙って見ていられない性分なのだ。 案の定、嫌がられた。「そこまで言わなくていいです」という空気は、はっきり伝わってくる。 それでも後から思うのは、こういう余計なお世話をした案件ほど、後日紹介が来るということだ。決済が終わって落ち着いた頃に「知人が相談したいと言っているんですが」という連絡が入る。嫌がられた記憶より、「あの人は本気で動いてくれた」という記憶の方が残るのかもしれない。 仲介手数料をもらうために動いているのか、この人の買い物を成功させるために動いているのか。自分でもたまに確認するようにしている。答えはいつも後者でありたいと思っている。 blueblooded|松村 健一 東京都港区田町・芝浦|湾岸エリア