
洪積台地と沖積低地の違いとは?|「台地は強い・低地は弱い」だけでは分からない東京の地盤|blue blooded ディスクリプション
洪積台地と、
沖積低地。
東京には、
古い土地と、新しい土地が隣り合っています。
東京の地盤を見ていると、 「洪積台地」と「沖積低地」という言葉が出てきます。
不動産では、
「台地は強い。低地は弱い。」
と説明されることもあります。
大きな傾向として理解しやすい表現ではあります。
ただ、 実際の土地を見るには、 それだけでは少し足りません。
なぜ台地が高いのか。
なぜ低地が低いのか。
その場所には、 どの時代に、 どんな土が積もったのか。
そこまで見ていくと、 東京の土地はかなり違って見えてきます。
高いか、低いか。
その違いには、
土地ができた時間が残っています。
洪積台地とは、
どんな土地なのか。
「洪積台地」という言葉は、 現在の地質年代区分では少し古い表現です。
それでも、 地形や不動産の説明では今も広く使われています。
国土地理院では洪積台地を、 主に更新世後期に形成された平坦面が、 地盤の上昇や海水準の低下によって 段丘化した地形の総称としています。
代表例として、 武蔵野台地や下総台地などが挙げられます。
つまり、 今よりずっと前につくられた平坦な土地が、 周囲の侵食や海面変化などによって 一段高い台地として残っている。
それが洪積台地です。
東京で分かりやすいのが、 武蔵野台地です。
山手側から西へ広がる、 東京を代表する台地です。
台地の表面には、
関東ローム層がある。
武蔵野台地の表面付近には、 関東ローム層が広く分布しています。
その下には、 武蔵野礫層や立川礫層などの 段丘礫層が分布します。
ここで注意したいのは、
「関東ローム層があるから、 武蔵野台地は強い」
という理解ではないことです。
関東ローム層そのものと、 台地全体の地盤評価は別の話です。
武蔵野台地を考えるなら、 表層のロームだけでなく、 その下の段丘礫層や、 台地という地形そのものを見る必要があります。
関東ローム層は地盤が弱い?|武蔵野台地との違いを詳しく見る →
では、
沖積低地とは何か。
一方、 川沿いや海に近い低い土地には、 沖積低地が広がります。
東京では、 隅田川や荒川周辺、 江東区や江戸川区などの東京低地、 そして湾岸部へとつながる地域が 分かりやすい例です。
沖積低地は、 河川や海によって運ばれた砂や泥などが 比較的新しい時代に堆積してできた土地です。
東京都の資料では、 東京低地に有楽町層などの沖積層が分布し、 場所によってはその厚さが 地下数mから70m程度に及ぶとされています。
その下には、 より古い東京層などが続いています。
洪積台地
古い時代につくられた台地・段丘
沖積低地
河川や海によって比較的新しい堆積物が重なった低地
違うのは、
高さだけではない。
台地と低地を、 「高い土地」と「低い土地」 だけで分けると、 本質が見えにくくなります。
大きな違いは、 土地ができた過程です。
洪積台地は、 より古い時代につくられた地形が 段丘として残っています。
沖積低地は、 その後、 河川の氾濫や海の作用などによって、 砂や泥が積み重なりながら形成されてきました。
同じ東京でも、 足元に残っている時間が違う。
東京は、
古い土地と新しい土地が、
隣り合ってできています。
だからといって、
「台地なら安心」ではない。
ここが、 一番大事なところです。
武蔵野台地のような洪積台地が、 東京低地より地盤面で有利に語られることはあります。
ただし、 台地の中にも谷があります。
川があります。
かつて川だった場所があります。
東京都の資料でも、 丘陵や台地であっても、 河川や旧河道に沿った谷底部には 沖積層が分布するとされています。
つまり、
台地の住所にあるから、 足元まで全部「台地の地盤」 とは限りません。
台地の中に、
低地が入り込む。
東京の地図を眺めるだけでは、 この違いは分かりにくいことがあります。
建物が並び、 道路が舗装され、 街が一続きになっているからです。
でも、 等高線を見る。
坂を見る。
古い地図を見る。
すると、 台地を削るように細い谷が入り込んでいることがあります。
今は川が見えなくても、 暗渠になっていることもあります。
地上の街は新しくなっても、 地形そのものは残っています。
川が見えなくなっても、
谷まで消えたわけではありません。
東京低地の地下には、
「埋没谷」もある。
さらに面白いのは、 地上からは見えない谷です。
約2万年前、 海面が現在より大きく低下した時期、 東京低地には大きな河川が流れていました。
その川が地面を深く削り、 谷をつくりました。
その後、 海面が上昇し、 川や海から運ばれた砂や泥が谷を埋めていきます。
地上から見ると平らな低地。
でも地下には、 昔の深い谷が残っている。
これが、 埋没谷です。
東京都の資料でも、 東京低地の一部には 沖積層が厚く堆積する埋没谷があることが示されています。
湾岸を見るときも、
「埋立地」の一言で終わらせない。
東京湾岸を見ると、 「埋立地だから地盤が弱い」 と一括りにされることがあります。
もちろん、 埋立地であることは確認すべき条件です。
ただ、 湾岸も一枚ではありません。
もともとの低地。
旧河道。
埋没谷。
埋立てられた時期。
その下にある沖積層。
さらに下にある支持層。
建物がどこまで杭を伸ばしているのか。
同じ湾岸でも、 見るべきものは変わります。
台地だけではなく、
丘陵も同じ。
多摩丘陵のような丘陵地では、 さらに起伏が大きくなります。
丘がある。
その間に谷がある。
宅地造成によって、 切土や盛土が行われていることもあります。
「丘だから強い」 と見るのではなく、 その敷地が丘陵のどこにあるのかを見る。
人は、
地形の上に暮らしている。
東京では、 建物が隙間なく並んでいるため、 地形が見えにくくなっています。
でも、 地方へ行くと、 土地の形が驚くほどはっきり見えることがあります。
熊本の阿蘇で大観峰から景色を見たとき、 印象に残ったのは、 巨大なカルデラだけではありませんでした。
そのカルデラの中に、 田畑があり、道路があり、 集落があり、人が暮らしている。
台地でも。
低地でも。
谷でも。
カルデラでも。
人は地形の上に暮らしています。
では、結局。
台地は強く、低地は弱いのか。
大きな地形の傾向だけを見るなら、 洪積台地は、 沖積低地より安定した地盤として 語られることが多いでしょう。
一方で、 沖積低地では比較的新しい堆積物が厚く分布する場所があり、 地盤沈下や液状化などとの関係も確認する必要があります。
ただ、 不動産を買うときに、 私たちが買うのは 「洪積台地」そのものではありません。
一つの土地です。
一つの戸建てです。
一つのマンションです。
だから最後は、 大きな地形の傾向から、 その一件へ降りていく必要があります。
地盤を見るなら、
地図を大きく見て、
最後は小さく見る。
戸建てでは、
地形だけで決めない。
戸建てを買うとき、 地盤だけを気にしていては なかなか話は進みません。
実際には、 もっと身近なところも重要です。
隣近所。
前面道路。
土地の形。
高低差。
建物の構造。
建材。
採光。
家事動線。
駐車場。
そして、 お客様がそこでどう暮らすのか。
そのうえで、 「この土地はどんな地形の上にあるのか」 も知っておく。
地盤を理由に怖がるのではなく、 知ったうえで選ぶ。
戸建てを買う前に見ること|隣近所・土地・建物・設計・暮らし →
洪積台地と沖積低地。
覚えておきたいこと。
洪積台地は、主に更新世につくられた比較的古い台地。
沖積低地は、河川や海による比較的新しい堆積物が広がる低地。
台地の中にも、谷・旧河道・沖積層が存在する。
低地の地下には、埋没谷が隠れている場所もある。
「台地は強い・低地は弱い」だけでは、個別の土地は判断できない。
東京の街は、
地形を隠している。
今の東京を歩いていると、 台地と低地の境界を意識することは それほど多くありません。
ビルが建ち、 道路がつながり、 鉄道が走っています。
でも、 少し坂を上れば台地。
坂を下れば谷。
川沿いには低地。
さらに地下には、 昔の谷や川が残っています。
土地は、 平面ではありません。
住所の下に、地形がある。
地形の下に、土地の時間がある。
※「洪積台地」「洪積層」は現在の地質年代区分では旧来の呼称を含みますが、一般的な地形・地盤の説明で現在も使われるため、本記事では検索上の分かりやすさを考慮して使用しています。個別の土地・建物の地盤状態は、地盤調査、地質資料、造成履歴、設計図書等によって確認する必要があります。
不動産は、物件から始めない。
先に、お話を。
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