
東京の地価は割高か、それとも割安か
東京の地価は割高か、割安か
——NY・ロンドン・シンガポール・香港・パリとの50年比較
2025年、東京の不動産市場は静かに、しかし確実に「再評価」の時代に突入した。23区の新築マンション平均価格が1億1,600万円を突破し、中央6区の中古相場が1億6,000万円台に達する現在、「バブルの再来ではないか」という声が上がっている。
だが、それは本当か。50年という時間軸と、世界5都市というスケールで俯瞰したとき、まったく異なる風景が浮かび上がってくる。
「今は動くべきでない」とお伝えすることもあります
Part I|前例なき暴騰と「失われた30年」
1985年のプラザ合意を引き金に急激な円高が進み、日銀は超低金利政策を実施した。商業地価は1985年から1990年のわずか5年間で約4倍に跳ね上がった。1989年末には日経平均が38,957円の史上最高値を記録。ピーク時の東京都心は1平方フィートあたり約13万9,000ドルで、マンハッタンの同等物件の約350倍に相当した。
しかし1990年、日銀が利上げに転じると状況は一変する。都市部地価はピークから最大70%の暴落を経験。商業地は1999年時点で1985年水準を下回った。このトラウマが、その後の日本人の不動産観を根本から書き換えた。
Part II|他の5都市は、この50年で何をしたか
ニューヨーク:危機と再生のV字回復
1975年、市は財政破綻寸前にあった。その後の金融業の隆盛と再開発により1990年代以降に急激な回復。リーマンショックでも調整は限定的で、現在のマンハッタン中心部は1万8,000〜2万5,000ドル/㎡を維持。
ロンドン:Brexitと資本流出の影
2000年代に富裕層資金の「避難港」として機能したが、2016年のBrexitと富裕税強化でミリオネアの流出が加速。インフレ調整後の住宅価格は2015年比で10%超の下落と、主要都市では稀な長期低迷。
シンガポール:小国の奇跡的な長期上昇
政治的安定と強固なインフラ、アジアの金融ハブとしての地位が地価の長期上昇を支えてきた。現在1万9,000〜2万2,000ドル/㎡。「高すぎる」と言われ続けながら上昇してきた典型例。
香港:世界最高峰の「割高感」とその後の調整
2万2,000ドル/㎡超とシンガポールをも凌駕。2020年の国家安全維持法施行以降、政治リスクと富裕層流出が顕在化し調整局面に。それでも絶対水準は依然として高い。
パリ:欧州の安定した地価と観光需要
2000年代以降に安定した上昇基調。短期賃貸需要と外国人富裕層の購入が下支えとなり、中心部は1万2,000〜1万6,000ドル/㎡程度を維持。
Part III|株価と地価の乖離
日経225は2024年2月、34年ぶりに1989年の高値を更新し、同年7月には42,000円台に到達した。株式市場は「失われた時代」を完全に清算した。一方、東京の商業地価はバブルピーク比▲70%(実質)からようやく回復しつつあるものの、名目ベースでもピーク水準には程遠い。
この「株と地価の乖離」こそが、現在の東京不動産を理解するうえで最も重要な構造的事実だ。1990年代の不良債権処理と不動産融資抑制が、地価に強制的な「バリュエーション・リセット」をもたらした。2013年以降のアベノミクス、2022年以降の円安・インバウンド回帰・海外資本流入が、ようやくこの乖離を縮め始めている。
ご予算と目的に応じてお答えします
Part IV|では、今の東京は「割高」か「割安」か
① 絶対水準:生活者にとっては明確に「割高」
年収の10〜15倍という水準は、国際的な住宅購入可能性指標において「深刻に割高」と分類されるレンジに突入している。日銀の利上げ局面が続けば、変動金利で購入した層の返済負担が急増するリスクも存在する。
② グローバル相対比較:海外投資家にとっては「まだ割安」
東京都心の㎡単価は5,000〜14,000ドル程度と、絶対水準では依然として下位に位置する。円安も加味すれば、外国人投資家の目には「世界の主要都市で最もコスパが良い投資先」に映る。2024年の日本不動産への外国人投資は前年比45%増、100億ドル超。中央3区では新築マンションの20〜40%が外国人購入者というデータも報告されている。
③ ファンダメンタルズ:需給と金利
2024年の23区新築マンション供給棟数は1973年以来の最低水準。一方、東京への純人口流入は年間約8万人。この需給の非対称性が価格を下支えしている。
総括:「グローバルには割安、ローカルには割高」という二重構造
東京の地価は、世界の主要都市との絶対比較においてはまだ「割安」な局面にある。しかし国内の実需層・給与所得者から見れば、明白に「割高」である。
湾岸エリアに代表される大型タワーマンション市場では、この「外国人・法人・高純資産層」と「実需の一般層」の二極化が最も先鋭に現れている。当社が拠点を置く港区・湾岸エリアにおいても、この構造変化はリアルタイムで進行中だ。
問うべき問いは「割高か割安か」ではない。「誰のための価格か、そして誰がこの市場を次の10年で支えるのか」だ。
では、今どこに買い場があるのか。国内の相対評価は都内で地価が割安なエリアはどこか、湾岸各エリアの資産性は湾岸タワーマンション徹底比較【前編】芝浦・浜松町・月島/徹底比較【後編】勝どき・晴海・豊洲・有明に書いています。
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